「ハードブレグジット」(欧州)

2016/11/08

<今日のキーワード>「ハードブレグジット」(欧州)

「ハードブレグジット」とは、英国が移民規制を優先するかわりに、欧州連合(EU)単一市場へのアクセスなどを犠牲にしてしまうことを指します。メイ首相は、移民規制を優先しつつ、最大限の単一市場のアクセスをEU側に求めていく見通しですが、完全なアクセスは困難との見方が多いようです。2017年3月までに英国はEUに対して離脱通告を行う方針ですが、今後2年間に亘る長い離脱交渉がスタートします。

【ポイント1】「ハードブレグジット」は貿易関係を犠牲に

優先されるのは移民規制

■「ハードブレグジット」とは、厳格に定義されているわけではありませんが、多くの場合、英国が移民規制を優先するかわりに、欧州連合(EU)単一市場へのアクセスやEUとの貿易関係を犠牲にしてしまうことを指します。

 

【ポイント2】英国の競争力低下に直結

EU向け金融サービスも提供できなくなる

■英国が「ハードブレグジット」を選択した場合は、英国のEUとの貿易関係は、ロシアやブラジルなどと同じ立場となります。つまり、英国とEUは相互に関税をかけたり、貿易制限をする関係となる見込みです。その結果、企業のコストが上昇し、競争力が低下することになります。金融機関については、英国で得ていた単一パスポートの権利を失い、EU向けの金融サービスができなくなることを意味します。

 

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【今後の展開】2017年3月までに離脱通告

■メイ首相は、2017年3月までに英国がEUに対して離脱通告を行う方針を明確にしましたが、EUとの関係がどうなるかはまだはっきりしていません。英国は、離脱を通告してから2年の間にEUと交渉する必要があります。英国財務省の試算では、「ハードブレグジット」となった場合、2030年頃にかけての英国の成長率は5.4~9.5%程度下振れすると予想されています。

■メイ首相は「移民規制を優先しつつ、最大限の単一市場のアクセスを求めていく」としていますが、最終的には部分的なアクセスにとどまらざるを得ない、との見方が多いようです。英国のEU離脱がどのような形となるか、引き続き注意を払う必要があります。

(2016年11月 8日)

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