日本国債の「マイナス利回り」(日本)

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日銀は1月29日にマイナス金利付き量的・質的金融緩和の導入を決定し、2月16日より金融機関が保有する日銀当座預金の残高の一部に▲0.1%の付利を開始しました。その結果、金融機関が資金を融通し合う無担保コール市場では翌日物金利がマイナスに低下し、日本国債もほぼ期間10年まで「マイナス利回り」となりました。

【ポイント1】国債に対する需要増で利回りが大幅に低下

日銀への転売動機が需要増の背景
■日銀はマイナス金利導入後も量的・質的金融緩和を継続しており、金融機関から国債を高値で買い入れることもあります。金融機関にとっては日銀への転売が利益獲得の機会となるため、積極的に国債を購入しています。その結果、国債に対する需要が増大し、価格の上昇によって利回りは大幅に低下し、日本国債はほぼ期間10年まで「マイナス利回り」となりました。

【ポイント2】10年国債入札に異変

利回りが初のマイナスに
■財務省が3月1日に実施した10年国債入札では、初めてマイナスの利回りが記録されました。入札での「マイナス利回り」は、国債が額面価格よりも非常に高い価格で入札されたことを意味します。つまり政府は借入予定額よりも多くの金額を借りることができ、かつ返済は予定額だけで良いということになります。

■同様に2年国債や5年債国債の入札でも「マイナス利回り」となる動きがみられます。金融機関は前述の通り国債を日銀へ転売することが可能ですので、マイナス利回りでも積極的に応札しているようです。

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【今後の展開】10年を超える期間の国債利回りにも低下圧力が強まる

日銀は金融機関から買い入れた「マイナス利回り」の国債を満期まで保有すれば損失を被ります。この場合、日銀が政府に収める納付金は減少します。政府は「マイナス利回り」の入札で返済不要の資金を手にすることができますが、結局はこの資金で納付金の減少を埋め合わせることになります。

なお現状、期間が10年を超える超長期国債の利回りはまだプラス圏にあります。これら超長期国債の保有主体は、従来生命保険会社などの機関投資家や年金です。ただ今後はより多くの金融機関や投資家が高い利回りを求めると予想され、超長期国債の利回りにも低下圧力が強まるとみられます。

(2016年3月8日)

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