改革と成長の両立狙い、「全人代」開幕(中国)

<今日のキーワード>改革と成長の両立狙い、「全人代」開幕(中国)

3月5日、日本の国会に相当する「全人代(全国人民代表大)」が開幕します。「全人代」は、前年の政 府活動報告や今年の政府目標の決定などが行われ、年1回、毎年3月に開催されます。今年から始まる5カ 年計画の決定も予定され、経済構造の改革と経済成長の両立を狙う政策の内容に注目が集まっています。

【ポイント1】今年の経済成長率目標は「6.5%~7.0%」か

柔軟な政策対応を可能にする目標設定へ
■5カ年計画の草稿発表時に習主席が「2020年までは最低6.5%以上」の成長率維持を明言したことを踏まえ、16年の成長率は「6.5%~7.0%」と幅を持って設定されることが有力視されています。15年の6.9%の成長率からの鈍化を容認し、過剰設備の削減などの構造改革を進める狙いと見られます。

■また、金融・財政政策をより柔軟に活用する方針が決定される見込みです。昨年は5回の利下げにより、1年物の貸出基準金利は4.35%まで低下し、15年の財政赤字は対GDP比の目標である2.3%を上回ったと見られます。今年はさらに、金融緩和の拡大と財政赤字拡大を容認した予算案が見込まれます。

【ポイント2】ハイテク主導の製造業へ

これまでの成長方式を見直し
■今年から始まる5カ年計画は、労働集約的な製造業から、ハイテク主導型の製造業への転換へ道筋をつけることに重きが置かれる見込みです。

■雇用や地方経済の下振れへの懸念から、これまでは踏み込んだ改革が先送りされてきました。しかし、環境問題などこれまでの成長至上主義的な方針の負の側面にも目を向け、経済の構造改革を進める方針と見られます。

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【今後の展開「すべての政策手段を用いる」G20声明も実行へ

財政拡大に注目が集まる
一方、新興国に目を向けると、タイやインドネシアでは公共投資の実行などで内需が拡大する見通しで、アセアン諸国は今年から来年にかけて成長ペースが緩やかに加速すると思われます。すでにアセアン通貨を中心に、「新興国通貨」も対米ドルで反発の動きがみられます。

構造改革と経済成長の両立へ
今回の5カ年計画は、「中国製造2025」、「イン
ターネットプラス」、新シルクロード「一帯一路」推進な
ど、成長を狙うこれまでの政策の一層の充実を図るほ
か、国有企業改革や業界再編など、痛みを伴う構造
改革にもさらに踏み込むことが見込まれます。成長との
バランスをどう保つかが注目されます。

(2016年3月3日)

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