シンガポール・リート市場~悪材料は出尽くし、底堅い推移を想定~

シンガポール・リート市場~悪材料は出尽くし、底堅い推移を想定~

【ポイント1】15年は5.5%下落

米利上げと中国景気減速が背景
■2015年のシンガポール・リート市場(S&Pリート指数の現地通貨ベース、以下同じ)は、前年末比5.5%の下落となりました。アジア・オセアニア地域ではオーストラリアが14.3%、香港が2.0%の上昇となり、国・地域別のパフォーマンスでは劣後しました。

■国内景気が弱い中、15年12月に行われた米国の利上げを見越し、国債利回りが上昇したうえ、中国の景気減速懸念が強まったことなどが背景です。シンガポール固有の事情としては、オフィスビルを中心に新規のビル供給が相次いだため、賃料が下落に転じたことも指摘できます。

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【ポイント2】グローバルでも割安な水準

個別リートの業績は好調続く
■昨年12月末のS&Pシンガポール・リート指数の配当利回りは6.8%と、オーストラリアの5.1%、香港の4.7%と比較して高い水準です。またシンガポール10年国債利回り2.6%とのスプレッドは4.2%と厚い水準にあり、過去との比較でもグローバルでの比較で見ても割安感が強まっています。

■個別リート企業の業績は好調が続いています。主要リート22社の7-9月期決算は、全体として前年同期比8%増収、6%増益でした。小売りなど安定した業種や中国の優良物件からの収益が堅調なためです。

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【今後の展開】悪材料は出尽くしか、政策期待もリート市場をサポート

■米国の今後の利上げは極めて緩やかなペースとなる見込みで、リート市場へのインパクトは限定的と考えられます。シンガポールのオフィスの新規供給は2016年でピークアウトする見通しです。中国の景気は徐々に安定化に向かう見込みであることから、悪材料は概ね出尽くしと考えられます。

■昨年9月の総選挙で圧勝した与党は、住宅取得規制や外国人労働者の就労規制に対する緩和策を進める方針です。実施されれば不動産、小売り、住宅などリートに関連するセクターにとって恩恵は大きく、リート市場のサポート要因となることが期待されます。

 (2016年1月6日) 

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