財政再建目指す「2016年予算案」(ブラジル)

<今日のキーワード>財政再建目指す「2016年予算案」(ブラジル)

ブラジルの財政は、景気後退による税収減などにより収支が悪化しています。政府は2015年の財政計画をGDP比0.9%の赤字(利払いを除くプライマリー収支、以下同様)と悪化方向に修正し、関連法案が12月2日に議会で承認されました。引き続き「2016年予算案」の成立が待たれますが、緊縮財政への反対、汚職問題、大統領の辞任を求める動きなどから国会審議はこう着しており、年内に成立するか不透明な状況です。

【ポイント1】「2016年予算案」は、財政収支を黒字に戻す計画

緊縮財政への反対や政府内の亀裂などから年内の成立が危ぶまれる
■政府は、「2016年予算案」で財政収支を黒字(GDP比0.7%)に戻す計画です。ルセフ大統領はレビ財務相とともに増税や歳出削減を通じて財政再建に取り組んでいますが、景気下押し懸念などから両氏の辞任を求める議会内外の動きが活発化しており、財政再建路線に黄信号が灯っています。

■与党連合を組むブラジル民主運動党(PMDB)党首のテメル副大統領とルセフ大統領の不協和音も報道され、議会運営が不透明となっています。テメル副大統領が政府と議会との調整役を務めてきたことから、「2016年予算案」の審議がこう着して年内に成立しない可能性が高まっています。

【ポイント2】国債の格下げ懸念強まる

ムーディーズが格下げ検討を発表
■大手格付け会社ムーディーズは12月9日、ブラジル国債の格付け(Baa3、BBB-に相当)について、引き下げ方向で検討に入ることを発表しました。

■9月に大手格付け会社S&PがBB+に格下げしていることから、大手2社が揃って非投資適格級の格付けになると、ブラジル国債からの資金逃避に拍車がかかり、レアルが一段と下落する恐れがあります。これを避けるためにも、政府は「2016年予算案」を成立させて財政再建をアピールしたいところです。

 151214MK

【今後の展開】政府は財政再建を、中銀は物価抑制を最優先、レアル安定に期待

議会での「2016年予算案」審議進展に注目
「2016年予算案」は、下院の予算委員会の承認を経て、本会議での審議の進展が注目されます。成立が遅延すると年明け以降に政府業務の一部が遅れるとの懸念があり、年内の成立が望まれています。

政府・中銀の政策によるレアル安定に期待
政府が財政再建に取り組むなか、ブラジル中央銀行は物価抑制に向け利上げも辞さない姿勢です。政府と中銀の政策により財政や物価への不安が解消され、レアルの安定化につながることが期待されます。

(2015年12月14日)

印刷用PDFはこちら

今日のキーワード 財政再建目指す「2016年予算案」(ブラジル)

関連マーケットレポート

2015年11月26日 ブラジルの金融政策(2015年11月)

2015年11月 6日 財政と物価の懸念解消を見極めへ(ブラジル)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会