トルコは「新内閣」で難局乗り越え(トルコ)

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トルコでは、11月1日のやり直し総選挙の結果、与党公正発展党(AKP)が国会の全550議席中317議席を獲得、6月の総選挙で一旦失った単独過半数を回復しました。これを受けてエルドアン大統領はAKP党首のダウトオール前首相に組閣を指示、11月24日に閣僚名簿を承認しました。前財務相のシムセキ氏が経済担当の副首相に就任するほか、「新内閣」には6月の選挙前の顔ぶれが多く残りました。

【ポイント1】AKP単独の「新内閣」の経済政策に期待

ただし、エルドアン大統領の影響力への懸念が継続
■やり直し選挙でAKPが勝利した直後、トルコ市場は株式、債券、通貨のいずれも上昇するいわゆるトリプル高となりました。AKPの単独政権が比較的高い経済成長を実現した実績から、「新内閣」の経済政策にも期待が強いことがうかがえました。選挙結果判明後の消費者信頼感は、約1年半ぶりの高水準へ急上昇しました。

■ただし、その後のトルコ市場は、上値の重い展開となっています。エルドアン大統領はAKPを離れた後も、同党に強い影響力を維持しています。同大統領は景気のためには政策金利が高すぎるとの発言を繰り返しており、「新内閣」の下でも中央銀行の独立性が脅かされるとの懸念が一因と思われます。

【ポイント2】ロシアとの対立で難局に

景気下押しを懸念する見方も
■11月24日にトルコがロシア軍機を撃墜し、両国の対立が先鋭化しました。フランスでの同時多発テロ以降、地政学リスクが高まるなか、トルコ市場は特に不安定化しています。

■ロシアからトルコへの訪問者数は、全体の約11%(2015年1月~9月)を占め、ドイツに次ぐ第2位であり、観光客の減少による景気下振れを指摘する見方もあります。

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【今後の展開】「新内閣」は、大統領との連携や野党との対話で難局乗り越え

■目立つエルドアン大統領
トルコは、クルド民族の反政府運動や、不安定なシリア情勢により治安に問題を抱え、さらにロシアとの対立という新たな問題が加わりました。「新内閣」発足を前に、エルドアン大統領が前面で指揮をとる場面が目立ちました。

■大統領と連携する「新内閣」の手腕に注目
AKPは、エルドアン大統領の権限を強化する方針です。独裁につながるとの批判がありますが、ダウトオール首相は野党と対話しながら民主的に進める姿勢です。「新内閣」が大統領と連携して難局を乗り越え、政治的不透明感を払しょくできるか注目です。

(2015年11月30日)

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