日本の金融政策(2015年11月)~日銀は金融政策の維持を決定~
日本の金融政策(2015年11月)~日銀は金融政策の維持を決定~
【ポイント1】物価判断は下方修正
景気判断は据え置き
■日銀は11月18日、19日の金融政策決定会合で市場の予想通り金融政策の維持を決定しました。予想物価上昇率については「このところ弱めの指標もみられている」として判断を下方修正しました。
■ただ「やや長い目でみれば、全体として上昇している」との認識は変更せず、また景気判断についても「緩やかな回復を続けている」に据え置きました。
【ポイント2】日銀理論変更の観測
基本的な枠組みは維持
■日銀は10月30日公表の展望レポートで経済成長と物価見通しを下方修正し、物価目標の達成時期を先送りしました。また同日の会合でも金融政策を維持しました。
■そのため市場で日銀はすでに物価目標を「2年程度」ではなく、「中期的」に達成する方向へ政策理論を変更したとの観測が浮上しています。ただ現行の日銀理論を改めて考えると、達成期限を明示して市場の期待に強く働きかける基本的な理論の枠組みは維持されていると思われます。
【今後の展開】物価と賃金動向を見極めるまで追加緩和は先送りの可能性も
■黒田総裁は11月6日の講演で、設備投資と賃金の伸び悩みに懸念を示しました。日銀は賃金の上昇も伴う物価の目標達成を目指していますので、依然追加緩和の可能性は残っているとみられます。
■物価はこの先、原油安要因の剥落で前年比の伸びが拡大する見通しです。そのため2016年の春闘とあわせてその動向を見極めるまで、追加緩和が先送りされることも想定されます。
(2015年11月19日)
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