「マンション発売」が悪化傾向(日本)
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「マンション発売」の動向は、不動産経済研究所が毎月発表する、首都圏及び近畿圏の「マンション市場動向」で見ることができます。発売戸数以外にも、1戸当たりの面積や平均販売単価、契約率、翌月への繰り越し戸数(在庫)なども公表されているため、マンション販売の最前線の状況を詳しく把握することができます。 |
【ポイント1】10月の発売戸数は2カ月連続で前年比マイナス
首都圏、近畿圏とも不調
■10月の首都圏「マンション発売」戸数は2,921戸、前年同月比で▲6.5%のマイナスとなりました。2カ月連続の減少です。同時に公表された近畿圏の「マンション発売」戸数も前年同月比で▲14.3%の1,223戸で、4カ月連続の前年割れでした。
■消費増税の駆け込み需要の反動の影響が軽減した今年7月~8月には前年比でプラスに転じましたが、再びマイナスとなった要因は、地価や建築費のコストアップによる単価上昇で、一次取得者が購買しにくくなっていることや、デベロッパー側も利益率重視の姿勢を取り、慎重な販売姿勢を取っていることがあげられます。
【ポイント2】 契約率は70%割れ
単価の上昇は続いている
■首都圏マンションの10月の1戸当たりの平均単価は5,364万円と17.6%上昇、㎡当たり単価では19.0%の上昇と、上昇が続いています。
■ただし、契約率は68.8%と好不調の分かれ目とされる70%を2カ月連続で割り込みました。即日完売の比率は全体の4%強にとどまった模様です。都心の高額物件への引き合いは依然強いものの、郊外の物件には、予定価格を値下げしている物件もあるようです。
【今後の展開】杭工事問題が懸念される
■マンションの杭工事問題波及に不安の声も
今後の動向としては、杭打ち工事の不正問題での消費者の買い控えが懸念されます。当初は1社のみのデータ改ざんとみられましたが、杭打ち工事の最大手企業からもデータ不正があったとの発表があったことから、2005年の鉄筋偽装問題と同様に、業界全体への波及が懸念されます。
■節税タワーマンションへの監視強化?
国税庁がタワーマンションを使った相続税等の節税策への監視を強めるとの報道も気になります。実態は不明ながら、特に都心の高額物件の一部の需要を支えているのは、節税対策との見方もできることは事実です。実際の適用には種々の問題がありますが、今後の需要面への影響が懸念されます。
(2015年11月17日)
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