財政と物価の懸念解消を見極めへ(ブラジル)

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ブラジルでは、景気後退による税収の低迷などから財政収支が悪化しています。また、これを受けた財政緊縮策が一段の景況感悪化につながるなど政策の手詰まり感が強く、ルセフ政権の支持率は7月の世論調査で7.7%と極めて低い水準に落ち込みました。経済面に多くの課題が山積するなか、政府は財政再建を、中央銀行は物価高是正を最優先課題として取り組む方針です。

【ポイント1】財政収支黒字化を目指して、予算案を修正

内閣改造も実施し、連立与党内の結束を固める

■大手格付け会社S&Pは、9月9日にブラジルの国債の格付けを1段階引き下げ、BB+の非投資適格級としました。8月31日に政府が議会に提出した2016年の予算案は計画段階から初の赤字(GDP比0.5%の赤字、利払いを除くプライマリー収支、以下同様)とされ、S&Pは、これを財政再建姿勢不十分と判断しました。

■格下げを受けて政府は予算案を見直し、9月14日に増税や歳出削減を通じて収支目標をGDP比0.7%の黒字に修正しました。また、10月初めには内閣を改造して連立与党内の結束を固めるなど、財政再建に向けた取り組みを強化しています。

【ポイント2】中銀は金融引き締め策を継続

物価高是正で景気回復を待つ姿勢
■ブラジル中央銀行(以下、中銀)は、9月と10月の会合で政策金利を14.25%に据え置きました。中銀は、物価高により消費や投資が抑制されると警戒しており、財政不安などからブラジルレアル安が進む場合などには、利上げも辞さない姿勢です。

■当面は、政策金利を高めに維持することにより、物価高を是正し、消費や投資が回復することを待つ方針です。

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【今後の展開】政府・中銀の政策で財政と物価への懸念解消が待たれる局面

■ルセフ政権の支持率に持ち直しの兆し
10月の世論調査によると、ルセフ政権の支持率は8.8%と、若干上昇しました。財政再建に国民の理解が得られ始めた可能性があり、取り組みの継続で大手格付け会社ムーディーズなどによる投資適格級の維持が期待されます。

■政府・中銀は現行の政策を当面維持
景気低迷下でも、政府・中銀は財政再建や金融引き締めといった不人気な政策を続けざるを得ない状況です。当面は、財政と物価への懸念解消が待たれる局面といえそうです。

(2015年11月6日)

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