やり直し「総選挙」で政権樹立なるか(トルコ)

<今日のキーワード>  やり直し「総選挙」で政権樹立なるか(トルコ)

トルコでは、4年に1度の「総選挙」が今年6月に実施されましたが、与党公正発展党(AKP)の獲得議席数が過半数に満たず政権を樹立できなかったことから、11月1日に再選挙が行われます。AKPは、景気の減速や、長年党首を務めたエルドアン大統領の権限を強化する方針への反発などを背景に支持率が伸び悩んでおり、政治的不透明感が強い状況です。

【ポイント1】AKPの過半数獲得は困難な情勢

クルド系少数政党の得票次第では、単独政権の可能性も

■10月16日発表の世論調査によると、AKPの支持率は42.5%(6月総選挙の得票率は、40.9%)と、50%を下回りました。AKPは2位の共和人民党(CHP)を大きく引き離し第1党の地位が確実な情勢ですが、単独政権樹立は今回も困難で、再び連立を組まざるを得ない状況です。

 ■トルコの総選挙では、得票率が10%に満たない政党には議席が与えられず、上位の政党に回ります。仮に、少数政党であるクルド系の国民民主主義党(HDP)の得票率が10%(同、13.1%)を下回れば、AKPの得票が過半数以下でも議席数が過半数を超え、単独政権の可能性も出てきます。

【ポイント2】政府はクルド武装勢力を攻撃

政党支持の傾向は大きく変わらず
■政府は7月以降、シリアにあるクルド武装勢力への攻撃を実施するなど、軍事作戦を進めています。これはAKP支持の向上とHDP支持の低下を狙った策とも見られています。

■政府によるこの軍事作戦に対しては、テロの防止につながらず、反撃による治安の悪化を指摘する声もあります。そうしたこともあり、AKP支持の向上やHDPの支持低下は殆ど見られません。

151030MK

【今後の展開】治安悪化や国際情勢の混迷からも、早期政権樹立が期待される

■野党に選挙後の連立政権参加の意向も
AKPは、再び過半数の議席獲得ができない場合を想定し、野党と連立に向けた交渉を行っています。政権が樹立できず再々選挙となるのは避けたい意向です。報道によると、第2党になると見込まれるCHPが連立政権への参加に前向きになっている模様です。

■選挙結果と政権樹立に向けた動きに注目
選挙結果は、日本時間の翌日、2日早朝には大勢が判明する見込みです。早期に新政権が樹立され、テロや難民流入といった国内問題、欧州への難民流出や中東の不安定な軍事情勢といった国際問題に腰を据えて取り組むことが期待されます。

(2015年10月30日)

印刷用PDFはこちら

今日のキーワード 「やり直し「総選挙」で政権樹立なるか(トルコ)

関連マーケットレポート

2015年10月22日 トルコの金融政策(2015年10月)

2015年 8月25日 トルコは視界不良のまま「再選挙」へ(トルコ)

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会