経済の立て直しに取り組む「新政権」(豪州)

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9月14日に実施されたオーストラリアの与党、自由党の党首選挙でマルコム・ターンブル氏がアボット前首相に勝利し、新首相に就任しました。ターンブル「新政権」は前政権の政策を概ね踏襲し、大きな修正は加えられないと見られています。投資銀行幹部やIT企業の創業といった経験を持つターンブル首相が率いる「新政権」にとって、産業界や金融市場との信頼回復と経済の立て直しが当面の課題と言えるでしょう。

【ポイント1】2016年の総選挙をにらんで党首交代

アボット前政権への不満が強まる
■2013年9月に発足したアボット前政権は、財政再建に取り組むものの難航が続いたこと、法人税の税率引き下げ等の公約を守れなかったことなどから、支持率が低下していました。国内景気の減速、失業率の高止まりといった問題にも対応できず、このままでは2016年に実施される予定の総選挙に勝てないという不安が与党内で強まり、今回の首相交代につながりました。

【ポイント2】前政権の政策を踏襲、大幅な変更はない見通し

日豪の経済・貿易関係への影響も小さいと考えられる
■ターンブル「新政権」は前政権の政策を概ね踏襲し、当面、大幅な政策変更は行わないと見られます。環太平洋経済連携協定(TPP)交渉を担当するロブ貿易・投資相も留任しました。今後の交渉に大きな変化はないと考えられます。
■日本との関係については、親日家だったアボット前首相に対し、ターンブル氏は日中のバランス外交に配慮する可能性が高いと見られています。ただ、日豪の経済や貿易関係は強固であり、政策全般では首相交代による影響は少ないと予想されます。

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【今後の展開】政権への信頼回復と経済の立て直しが当面の課題

■ 政権の信頼回復へ
ターンブル氏は国会議員になる以前に、投資銀行幹部やIT企業の共同経営者などの経験を有しています。産業界や金融界との対話を通じて、政権への信頼回復を図ることが当面の課題といえるでしょう。

■政策面では経済の立て直しに期待
豪州の4-6月期実質GDP成長率は前年同期比+2.0%となり、前期の+2.5%から減速しました。鈍化した経済を立て直すことが、まずは「新政権」に期待されるところです。

(2015年10月1日)

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