「一帯一路」で鉄鋼輸出が加速(中国)

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「一帯一路」は現代版シルクロードの構築を目指した中国の経済・外交政策のことです。中国から中央アジアを経由して欧州につながる「シルクロード経済帯」と、東南アジア、中東を経て欧州につながる「21世紀海上シルクロード」(一路)の2つのルートを構築し、貿易振興などを図る狙いがあります。最近では、沿線地域に向けに、道路、鉄道、港湾建設に必要な鉄鋼輸出が加速しています。

【ポイント1】現代版シルクロードでは、絹に代わり、鉄鋼を輸出

「一帯一路」向け鉄鋼輸出は今年上半期前年同期比約4割増
■「一帯一路」沿線地域向けの鉄鋼製品の輸出が増加傾向にあります。「一帯一路」構築には、まず道路、鉄道、港湾などのインフラ整備が必要で、中国は鉄鋼製品の輸出を加速させています。また、中国国内でも、沿線地域では、インフラ投資が活発と報道されています。
■今年上半期の沿線地域向け鉄鋼製品輸出(数量ベース)は、前年同期比約4割増えました。「一帯一路」向け鉄鋼製品の輸出は全世界向けのおよそ63%のウエイトを占め、3年前のおよそ55%から増加しました。

【ポイント2】国内の鉄鋼需要は減少傾向

価格下落から、輸出競争力は強まる
■中国国内の鉄鋼製品需要は、不動産ブームの沈静化もあり、減少傾向にあるとされます。一方、生産能力の削減が進んでおらず、需給は長期にわたり緩むとの見通しです。政府は、環境を悪化させる効率の悪い旧式設備の削減を進めていますが、地方経済への影響も大きく、過剰生産能力の削減はゆっくりとしたペースのようです。
■その結果、鉄鋼製品は供給過剰から価格が低下し、それが輸出競争力を強めています。

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【今後の展開】輸出振興を狙い「一帯一路」推進、景気下振れ懸念緩和を目指す

■「一帯一路」は習主席の肝いり
「一帯一路」は習近平国家主席が提唱してきた構想を政策として具体化したもので、優先順位が高い国家プロジェクトです。「一帯一路」沿線地域へのインフラ投資は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の年内と見られる活動開始により、加速が見込まれています。また、人民元の切り下げによっても輸出振興を図る狙いがあると見られます。

■景気下振れが和らぐことを期待
「一帯一路」の目的には、国内の過剰生産能力削減による需要不足を補うことや資本財輸出の増加などがあります。中国経済の構造調整に伴う下振れ圧力は予想外に大きくなっており、輸出に拍車がかかり、景気の下振れが和らぐことが期待されます。

(2015年8月31日)

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