最近の指標から見るブラジル経済(2015年8月)~利上げやインフラ投資などの政策効果を待つ局面~

最近の指標から見るブラジル経済(2015年8月)~利上げやインフラ投資などの政策効果を待つ局面~

【ポイント1】消費と生産の低迷が継続

内外ともに需要が弱い状況

■6月の小売売上高は前年同月比▲2.7%と、3カ月連続のマイナスになりました。物価高による実質所得の減少(6月は同▲2.0%)や、ブラジル中央銀行(以下、中銀)の利上げが消費低迷の主な要因と見られます。
■7月の輸出は同▲19.5%と、12カ月連続のマイナスになりました。内外ともに需要が弱い状況にあり、6月の鉱工業生産指数は同▲3.2%と昨年3月以降マイナスが続いています。

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【ポイント2】利上げは打ち止め

市場の物価予想が上昇

■8月前半の消費者物価指数は前年同月比+9.57%と、高止まりしました。電気料金が同+56.9%と大幅に上昇し、全体を押し上げました。
■中銀は、7月29日に政策金利を0.50%引き上げ14.25%とすることを発表し、同時に利上げの打ち止めを示唆しました。
■中銀は、政策金利を当面据え置くことで物価が落ち着くと見ています。一方、中銀が毎週発表する市場の物価予想(2016年末)は8月に入り3週連続で上昇しています。中国の株価下落や景気不安などによるリスク回避の動きから新興国通貨の下落が進んでおり、レアル安が物価を押し上げるとの見方が根強いためと思われます。

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【今後の展開】中銀の物価抑制策、政府のインフラ投資政策などの景気への効果に期待

■大手格付け会社ムーディーズは11日、ブラジル国債の格付けを1段階引き下げ、Baa3(BBB-に相当)としました。ただし、財政再建に向けた取り組みへの評価などから、格付け見通しは「安定的」としました。投資適格の格付けを失う可能性は大きく後退しました。
■政府は、緊縮財政のなかでもインフラ投資の計画を発表するなど景気に配慮しています。インフラ投資などによる景気の下支え効果が中長期的に期待されます。また、中銀の利上げにより物価が落ち着けば、消費の持ち直しにつながると期待されます。当面は、政府と中銀の政策を通じた景気支援効果を待つ局面といえます。

 

 (2015年8月28日) 

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