ルセフ政権の「財政再建」に逆風(ブラジル)

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ルセフ政権は、今年1月から2期目(任期4年)がスタートし、経済政策では財務相に市場からの評価が高いレビ氏を起用して「財政再建」を進めています。しかし、物価高、景気低迷、国営石油会社ペトロブラスを巡る汚職問題による政治不信などから世論調査で支持率が1桁に落ち込むなど、人気が著しく低迷しています。

【ポイント1】 「財政再建」は進んでいるものの、国民の不満が高まる状況

ルセフ大統領の退陣などを求める大規模デモが発生
■ルセフ大統領は、4月にテメル副大統領を議会との政策調整役に指名しました。5月には今年度予算を見直して大規模な歳出削減案を発表、8月19日に法人税減税の縮小法案が成立するなど、「財政再建」の取り組みが着実に進んでいます。

■一方、「財政再建」は国民の不満を高める要因になっています。電力会社への補助金削減を例にとると、政府が同時に電気料金の引き上げを認めたことから、値上げ幅は足元で前年比50%を超え、貧困層を中心に家計を圧迫する要因になっています。

■8月16日には、物価高、景気低迷、汚職の広がりなどへの反発から、大規模な反政府デモが発生しました。報道によると全国で数十万人が参加し、ルセフ大統領の退陣を求める動きとなりました。

【ポイント2】政界には緊縮疲れも

レビ財務相への批判が強まる
■景気が低迷するなかでも、ルセフ政権は過去のばらまき的な財政政策を転換して不人気の「財政再建」を進めざるを得ず、足元では政界に緊縮疲れも見られ始めています。

■24日には、テメル氏が議会との調整の取り組みを控えたい意向であるとの報道が見られました。また、国会議員の間でレビ財務相の緊縮策に対する批判が強まり、更迭を求める動きも報道されました。同相は即座に辞任を否定しましたが、「財政再建」のさらなる推進は難航する可能性があります。

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【今後の展開】「財政再建」への信任は、レアル安定化のカギ

■ 内外の不安要因からレアルは下落傾向
景気低迷、物価高、「財政再建」難航などから、ブラジルレアルは足元で下落傾向を強めています。中国の景気不安、米国の利上げ観測など海外の不安要因もあり、レアルの不安定な動きは当面続きそうです。

■ 金融引き締めと「財政再建」でレアル安定化へ
ブラジル中央銀行は金融引き締め策を続けており、物価高是正が待たれます。また、レビ財務相の去就や政府の議会対策を巡る不透明感が払拭されれば、「財政再建」への信任が高まり、これらはレアルの安定化につながる要因として期待されます。

(2015年8月26日)

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