「FOMC議事録」と金融政策(米国)

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「米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録」は、FOMCから3週間後に公表されます。FOMC終了直後に公表される声明文で景気や物価、金融政策に関する判断が明らかにされますが、議事録はその判断に至るまでの議論が記録され、より詳細な情報を得ることができます。7月28日~29日に開催されたFOMCについて、8月19日に議事録が公表されました。

【ポイント1】金融緩和解除の条件は整っていないが、その時期は接近

景気の改善が進んでいるのに対し、物価は低水準にとどまっている
■「FOMC議事録」によれば、大半の参加者が、利上げの条件はまだ整っていないものの、その時期は近づきつつあると判断しました。

■景気は金融緩和解除に向けて着実に前進しているとの見方で一致したのに対し、低水準にとどまっているインフレ率の解釈をめぐってはFOMCの内部で意見が対立しているようです。

【ポイント2】労働市場のスラックは解消

物価上昇率に対する見方は分かれる
■非農業雇用者数は月平均20万人を超えるペースで増加し、失業率は5.3%とFOMCメンバーによる2015年10-12月期の予想レンジ上限に達しました。これを受けて労働市場のスラック(需給の緩み)は相当に解消されたと判断しました。

■他方、物価上昇率は米連邦準備制度理事会(FRB)の目標である2%を下回ったままです。利上げに消極的なメンバーはまだスラックが完全には解消されていない証拠と解釈する一方、積極的なメンバーは景気、労働市場の拡大を背景に物価上昇率は間もなく上昇すると見ています。

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【今後の展開】雇用、物価関連の経済指標に引き続き注目

■早期利上げ派と慎重派でFOMC内部は分裂
今回の「議事録」は、これまでの景気、雇用の改善を評価する早期利上げ派と、低い水準にとどまったままの物価上昇率を懸念する慎重派に、二分されていることを示唆する内容でした。声明文では、両者の妥協点として、労働市場の「もう少しの改善」を利上げの判断基準としたようです。

■景気指標に左右される展開
早期の利上げを示唆する内容が含まれていなかったことから、9月の利上げ見通しは後退したようです。ただ、早期利上げの可能性が完全に消滅したわけではありません。市場は引き続き雇用や物価関連の指標に影響される展開になると予想されます。

(2015年8月21日)

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