最近の指標から見るインド経済(2015年8月)~利下げが景気を下支え~

最近の指標から見るインド経済(2015年8月)~利下げが景気を下支え~

【ポイント1】生産は堅調

利下げが内需を下支え

■6月の鉱工業生産指数は前年同月比+3.8%と、今年に入り3%前後の拡大基調が続いています。一方、輸出は昨年12月以降マイナスが続き(7月は同▲10.3%)、内需が生産を支えている形です。
■7月の製造業PMI(購買担当者指数)は52.7と、前月の51.3から上昇しました。インド準備銀行(中央銀行、RBI)の利下げが内需を下支えし、生産は堅調さが続きそうです。

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【ポイント2】物価上昇率が大きく低下

9月の利下げ観測が強まる

■7月の消費者物価指数は前年同月比+3.78%となり、3カ月ぶりに伸び率が前の月(6月は同+5.40%)を下回りました。食品(全体の約39%)が同+2.15%と低い伸びとなったことが主因です。
■8月4日の会合でRBIは、政策金利(レポ金利)を7.25%に据え置きました。7月に物価上昇率が大きく低下したことを受け、市場では次回9月29日の会合で利下げを行う観測が強まっています。
■ただし、足元では米国の利上げ観測などからインドルピーを含む新興国通貨が下落傾向にあります。早ければ9月16日から17日の連邦公開市場委員会(FOMC)で利上げが決定されるとの見方もあり、RBIは投資資金の動きなどにも注意を払いながら利下げを検討すると思われます。

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【今後の展開】モディノミクス停滞が懸念されるものの、利下げが景気の下支えに

■モディ政権の構造改革の目玉とされる財・サービス税(GST)法案は、国会の空転により審議が難航しています。野党はGST導入による税制の簡素化には大筋賛成であり、法案成立は時間の問題との見方もありますが、政府が予定している来年4月のGST導入は難しくなりつつあります。
■モディノミクスの停滞は、構造改革による景気へのプラス期待が薄らぐ要因として懸念されます。一方、物価が落ち着いていることから、RBIによる利下げが景気の下支えとして期待され、景気は堅調さを持続できそうです。

 (2015年8月20日) 

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