インドの「構造改革」に急ブレーキ(インド)

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インドでは、7月21日から夏季の国会(通称:モンスーン国会)が始まり、モディノミクスによる「構造改革」の目玉とされる財・サービス税(GST)法案の上院通過(下院は通過済み)などが期待されていました。しかし、国会は野党国民会議派(INC)の審議拒否により空転し、同法案が成立しないまま予定の会期最終日(8月13日)が過ぎ、17日でも正式には会期が終了していない状態となっています。

【ポイント1】2016年4月のGST導入に向け、与党は会期延長を検討

INCの協力は不透明
■与党インド人民党(BJP)は、GSTの導入時期を2016年4月としており、関連法案の早期成立のため、モンスーン国会の会期延長を検討している模様です。しかし、上院での劣勢(定数245議席中48議席)を補うために協力が必要なINC(68議席)が対立姿勢を続けているため、次期国会(例年11月から)前の臨時国会開催も視野に、戦術を検討している模様です。
■INCは、汚職に関わった疑いのあるスワラージ外相を更迭するよう求めるなど、政府批判を強めています。こうしたINCの姿勢には、モディノミクス人気のあおりを受けて低下した党勢を盛り返す目的があり、審議への協力は不透明な状況です。

【ポイント2】懸念される「構造改革」の遅れ

野党は土地収用法の改正案にも反対
■GST法案は、これまで州毎に設定されていた間接税を、全国的に統一することを目的としており、外国企業の進出促進などにつながると期待されています。審議のこう着による「構造改革」の遅れが懸念されます。
■また、今回のモンスーン国会では、工場などの建設が進めやすくなるとされる土地収用法の改正案の審議も進みませんでした。野党は地権者保護などを理由に反対姿勢を崩しておらず、政府は時限的な政令による対応を続けざるを得ない模様です。

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【今後の展開】審議再開と利下げが成長見通し改善のカギ

■株式市場は下落も、利下げ期待が下支えに
「構造改革」関連法案の審議難航を受け、先週インドの株式と通貨は下落しました。ただし、14日に発表された7月の卸売物価指数が前年同月比▲4.05%と、前月(同▲2.40%)から低下幅が拡大し、利下げ期待が高まったことから、株式市場は持ち直しました。

■政府・与党の国会対策に注目
INCは、昨年5月まで政権を担っていた際、GST導入には積極的でした。INCの基本姿勢は変わっておらず、早晩導入賛成に転じるとの楽観的な見方もあります。当面は政府・与党の国会対策が注目点となります。GST法案の審議再開、可決が可能となれば、利下げ期待とともに中長期的な成長見通しの改善につながりそうです。

(2015年8月18日)

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