アジア・リート市場、足元の動向と今後の見通し~中国の景気減速懸念が和らぐにつれ、高い配当利回りが支える展開へ~

アジア・リート市場、足元の動向と今後の見通し

【ポイント1】中国の景気減速懸念を嫌気

為替要因もマイナス

■アジア・リート指数(円ベース)は、足元で軟調です。8月13日の終値は先週末比▲1.6%の下落となりました。特にシンガポール市場が同▲3.9%と大きめの下落となっています。
■アジア・リート市場下落の要因は、中国の景気減速懸念です。中国人民銀行は、13日まで3日連続で人民元を切り下げました。輸出を振興し景気をてこ入れするねらいですが、この予想外の措置が景気への不透明感をむしろ高めた形です。
■同じ期間で見ると、為替要因もマイナスでした。人民元の切り下げの影響を受け、米ドルに連動する香港ドル以外の2通貨は円に対して下落しました。シンガポールドルは、国内景気の減速感がやや強いこともあり、下げが大きくなりました。

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【ポイント2】シンガポール市場は景気の相対的な弱さも影響

オーストラリア市場の下げは限定的

■各地域を現地通貨ベースで見ると、シンガポール市場は、4-6月期のGDPがマイナス成長になるなど、国内景気の減速感が強まり、他の市場に比べ下落が大きくなっています。
■香港市場は、国内向けの小売店舗を主要な投資資産とするリートが多いことが安定要因とされますが、中国の景気減速懸念の影響を受けました。
■オーストラリア市場は、住宅市場の底堅さもあり、他の市場と比べると下げは限定的でした。

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【今後の展開】相対的に高い配当利回りが市場を下支え

■中国人民銀行首脳は13日、人民元の大幅な切り下げの終了を示唆しました。人民元を巡る混乱は一旦落ち着く方向です。景気については、当局が、金融、財政、通貨の政策を総動員して景気対策を行っていることから、大幅な下振れの可能性は限定的と見られます。アジア・リート市場は、中国景気への懸念が和らぐにつれ、相対的に高い配当利回りに支えられ、今後は底堅い展開となることが期待されます。

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 (2015年8月14日) 

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