株価下落でも堅調な「消費の新潮流」(中国)

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上海総合指数は、7月月初から同月末までの1カ月で約14%下落しました。一方、7月の小売売上高は前年同月比10.5%増と、前月とほぼ同じ伸びになりました。インターネット販売や農村部の小売などの「消費の新潮流」が寄与していると見られます。株価下落の影響が遅れて表れる可能性はありますが、これらが消費を下支えする傾向が今後も続きそうです。

【ポイント1】7月の景気は、株価下落も影響し、急減速

一連の株価対策で、8月の株価は落ち着いた動き
■中国の7月の主要指標である生産、投資、小売が12日に公表されました。7月の生産や1月~7月までの年初来の投資は、前年の同じ時期に比べた伸び率(以下同じ)が前月よりも鈍化し、減速感が強まりました。先に公表されていた、7月の輸出も同じく減少し、7月の企業景況感は前月比低下しました。
■上海総合指数は、年初から6月12日の年初来高値まで約6割上昇後、下落に転じました。政府は6月27日に政策金利と預金準備率の引き下げを公表しましたが、株価は下げ止まらず7月末は前月末比で下落しました。しかし、相次いで講じた株価対策の効果が次第に表れ、8月に入り12日までに同指数は約6%上昇し、落ち着きを取り戻しています。

【ポイント2】小売の7月の鈍化は小幅

インターネット販売や農村部の小売の勢いが寄与
■7月の小売売上高は、生産や投資ほど落ち込みが見られませんでした。
■「消費の新潮流」である、インターネット販売は1月から7月までの年初来累計で同38%増え、7月の農村部の小売も同1割超増加し、都市部を上回る傾向が続いています。また、宝石などの高額品の7月の小売売上は同10%を超える増加で、7月は消費の堅調さが続きました。

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【今後の展開】消費主導の経済への転換を目指し、政策総動員の構え

■電子商取引推進や農村対策は重要課題
中国政府はインターネット販売などの電子商取引の推進を今年の活動の柱に据え、自由貿易試験区の推進や物流網の整備などの支援を拡充しています。また、農村部の所得向上を引き続き重要課題に位置付け、積極的な財政支援も行い、消費主導経済への転換を図っています。

■人民元切り下げなど政策総動員の構え
中国人民銀行は11日以降、輸出てこ入れのため、人民元を連日切り下げています。13日までの切り下げ幅は合計で約5%弱となり、一連の株価対策と合わせて、景気対策を総動員する構えです。経済構造の転換による景気下振れには、今後も政策発動が見込まれ、中長期的な安定成長の持続が期待されます。

(2015年8月14日)

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