ブラジルレアルの最近の動向と今後の見通し

ブラジルレアルの最近の動向と今後の見通し

【ポイント1】年初来対円で約20%下落

対円で2008年以来のレアル安水準
■ブラジルレアルは7月中旬以降、財政不安や政治的不透明感などを受け、下落傾向が強まっています。

■昨年末からの下落幅は、対円で▲20.4%(8月4日時点)となり、2008年12月以来のレアル安水準となっています。対米ドルでは、同▲30.6%の下落となり、2003年3月以来、約12年半ぶりのレアル安水準となっています。

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【ポイント2】財政不安から下落が加速

投資適格級は当面維持の見込み
■政府は景気の下振れによる税収不足などから、7月22日に財政収支の目標を引き下げました。これを受けて大手格付け会社S&Pは28日、国債格付け(BBB-)の見通しを「弱含み」に引き下げ、レアルの下落が加速する要因になりました。

■現政権は、市場から評価の高いレビ財務相を中心に財政再建への取り組みを続けています。ムーディーズ社がBaa2(BBBに相当、投資適格の下から2番目)としていることもあり、ブラジル国債は投資適格級(Baa3、BBB-以上)を当面維持できる見込みです。そのため、格下げ懸念によるレアル安圧力は短期的と思われます。

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【今後の展開】物価の落ち着きが、レアル反転のカギ

■ルセフ政権は、景気低迷下でも財政緊縮策を進めざるを得ず、支持率が直近の世論調査では1桁に落ち込みました。汚職疑惑がルセフ大統領の前任のルーラ氏周辺にも及んだことが長年の労働者党政権に対する不満につながるなど、政治的不透明感は当面レアルを下押ししそうです。

■ブラジル中央銀行は、昨年10月から今年7月まで、政策金利を7会合連続で引き上げ、14.25%としています。これまでの利上げの効果などにより財など一部の物価が落ち着いているほか、市場 の2016年末の予想が低下しつつあります。

■物価が全体として落ち着く場合、消費や投資の回復にもつながり、レアルは持ち直しに向かうと期待されます。

 (2015年8月5日) 

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