「南アジア地域協力連合」今後の深化に期待(アジア)

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「南アジア地域協力連合(SAARC)」は、インドを中心とした8か国による、比較的緩やかな地域協力の枠組みです。1980年にバングラデシュのラーマン大統領(当時)が行なった提案に基づき、1985年12月の関係国首脳会議で正式に発足しました。過去の加盟国間での紛争の歴史などから、ASEANなどと比較して統合の度合いは弱く、今後どのように深化していくか注目されます。

【ポイント1】農業や環境など重点分野で協力

加盟国間の紛争の歴史などから、統合のスピードは緩やか
■「SAARC」憲章は、「SAARC」の目的として、南アジア諸国民の福祉の増進、経済社会開発及び文化面での協力などを規定しています。これまで、加盟国は、経済、社会、文化を中心に協力を行っており、特に2000年以降は、農業、運輸通信、社会開発、環境気象、科学技術、人材開発、エネルギーの7分野を対象とした行動計画により協力関係が深められています。
■一方、2000年代前半、インド、パキスタンの国境付近におけるテロ活動の活発化などを背景に、両国の関係が悪化、この時期には「SAARC」首脳会議が中止になるなど、協力の枠組みの維持が一時危ぶまれる時期がありました。

【ポイント2】関税引き下げが緩やかに進む

域内関税を原則5%以下へ
■貿易面については、加盟国は1990年代後半以降、関税の引き下げに取り組んできました。インドとパキスタンの関係改善と歩調を合わせ、2006年、「SAARC」の枠組の下に「南アジア自由貿易地域(SAFTA)」が発効しました。これは、それまで特定品目に限って特恵関税を適用していた仕組みから、原則として域内関税を5%以下とすることを取り決めたものです。
■ただし、「SAFTA」は、サービス貿易や投資などを含めた広範囲な協力を促進する内容になっていなかったことから、域内経済の活性化への役割を限定的とする見方もあります。

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【今後の展開】インドの経済発展に伴い、「SAARC」の統合が深化

■世界経済の34%、世界人口の23%
2014年のGDPで見ると、「SAARC」は世界全体の34%を占めます。人口では、世界の23%です。いずれも、そのうち約8割をインドが占めるため、「SAARC」の発展はインド次第と言っても過言ではありません。

■域内統合の深化でさらに高成長へ
国際通貨基金(IMF)によると、今年から2020年までの世界経済の成長率は、平均で年3.8%程度と予想されています。一方「SAARC」の平均的な成長率は6%を超える見込みです。「SAARC」の深化により、さらなる成長率向上も期待されます。

(2015年8月3日)

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