最近の指標から見る日本経済(2015年7月)~景気は、一時的な弱さから脱し、緩やかな回復へ~

最近の指標から見る日本経済(2015年7月)~ 景気は、一時的な弱さから脱し、緩やかな回復へ~

【ポイント1】輸出数量は横ばい

円安により企業景況感は改善

■6月の輸出額は、前年同月比+9.5%でした。円安による価格上昇が輸出額を押し上げ、輸出数量は横ばいにとどまりました。輸出数量を地域別に見ると、EUとアジア向け(中国を除く)の増加を米国、中国向けの減少が打ち消しました。輸入額は、同▲2.9%でした。原油安などで価格が下落したうえ、数量も減少しました。その結果貿易収支は、690億円の赤字と、昨年に比べて大きく縮小しています。ただし、足元における純輸出の景気への寄与は限定的と見られます。

■輸出数量は低調となったものの、円安による輸出採算の改善などにより、企業の景況感は改善傾向です。6月調査の「日銀短観」では大企業の足元の業況判断が製造業、非製造業ともに改善しました。

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【ポイント2】消費は天候と値上げが影響

街角景気は中立を5カ月連続で上回る

■6月の小売業販売額は、前年同月比+0.9%と前月から伸びが鈍化しました。天候不順による夏物商品の不振や食品を中心に値上げが相次いたことも影響したと見られます。

■街角の景気を表す「景気ウォッチャー調査」(6月)は、「現状判断DI」が51.0ポイントと2カ月連続で低下しました。街角の声にも、円安による輸入品価格の上昇を懸念する声が聞かれました。ただし、中立の50ポイントを5カ月連続で上回っており、景況感は良好に推移しています。

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【今後の展開】景気は、7-9月期以降緩やかに加速

■4-6月期の実質GDP成長率は、中国や米国向け輸出の鈍化や、消費回復の足踏みなどから、減速が見込まれます。中国景気の先行き不透明感については、追加金融緩和や景気対策などの政策余地が大きく、下振れは限定的と見られます。

■7-9月期以降は、米国向け輸出の回復や賃金上昇を背景とした消費の回復が見込まれ、GDP成長率は、緩やかに加速することが期待されます。

 (2015年7月29日) 

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