最近の指標から見る欧州経済(2015年7月)~ギリシャ情勢を乗り越え、景気回復持続へ~

最近の指標から見る欧州経済(2015年7月)~ギリシャ情勢を乗り越え、景気回復持続へ~

【ポイント1】景気は緩やかに回復

景況感は総じて安定
■ユーロ圏の7月の製造業PMI(購買担当者景況感指数)、5月の生産はともに前月から低下しました。生産活動は勢いを欠くものの昨年後半の水準を上回り、景況感も50超を維持していることから、緩やかな回復過程の中での一時的な調整と見られます。

■7月のサービス業PMIは前月から低下したものの、高水準にあります。5月の小売売上高が前月から上昇するなど、消費は回復基調を維持しています。

■6月後半以降ギリシャ情勢の悪化で市場は不安定化しましたが、景況感への影響は限定的と見られます。これまでのユーロ安が輸出や生産などを支え、景気は緩やかに回復しています。

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【ポイント2】物価と景気に金融緩和効果

金融緩和は状況次第で拡充へ

■6月の消費者物価指数は前年同月比+0.2%と、今年1月の同▲0.6%を直近の底として上昇傾向にあります。原油安の影響が弱まり、ユーロ安から食料品価格などが上昇したことが要因です。

■欧州中央銀行(ECB)による強力な金融緩和が景気や物価の回復をサポートしています。ECBは、2%近くとする物価目標の達成が見通せるまで、月600億ユーロの資産購入を継続する方針であり、必要に応じて追加緩和も見込まれます。

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【今後の展開】金融緩和や投資促進策により、景気の緩やかな回復が持続

■ユーロ圏は、輸出が主導して、生産、雇用、消費へと波及する好循環が見込まれます。ただし、設備の過剰解消には時間を要するため、設備投資の回復は脆弱となりそうです。景気回復をより着実なものにするため、欧州連合(EU)主導による、新産業育成などの投資促進策が期待されます。

■ギリシャが財政緊縮強化を受け入れたことで、EUなどの最大860億ユーロの金融支援協議が開始され、不安定な状況は一旦落ち着きました。景気は緩やかな回復持続が見込まれます。

■景気回復のリスク要因として、ウクライナ問題などの地政学リスク、中国を含めた新興国経済の減速、再び下落傾向となった原油価格には、引き続き注意が必要と見られます。

 (2015年7月28日) 

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