「貿易テコ入れ策」はビジネスフレンドリー(中国)

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中国の今年上半期の貿易額は、前年の同じ時期に比べて約7%減少しました。これを受け政府は、6項目の「貿易テコ入れ策」を発表しました。これまでの関税引き下げなどの政策から、企業の貿易活動を支援するサービス重視の内容となり、企業の国際競争力をサポートすることも視野に入れています。ビジネスフレンドリーな政策で、景気減速に歯止めをかける意図もうかがわれます。

【ポイント1】通関手続きを効率化、費用負担を軽減

企業活動をサポート
■貿易の低迷は、内外需の減速、人件費の上昇、資源価格の大幅な下落が影響しています。輸入の落ち込みが大きかったため、貿易収支は黒字が拡大、成長率にはプラスに貢献しました。しかし、政府は今年の貿易額の目標を6%増としており今回の「テコ入れ策」により目標達成への意欲を示した形です。
■「テコ入れ策」は、①税関窓口の一本化、②輸入時の貿易金融の利子優遇、③人民元建て決済の促進、④輸出税還付の迅速化、⑤通関費用の減免、⑥国境を越えた電子商取引の推進、の6項目からなります。通関手続きの効率化や費用負担の軽減により、企業活動をサポートする内容です。

【ポイント2】税関申告を一カ所に集約

人民元の安定化で為替リスク軽減
■税関の申告は、これまで、企業の所在地と、船積み港それぞれで行う必要がありました。「税関窓口の一本化」により、時間とコストの削減が期待されます。政府は、最終的に通関業務の全国一体化を目指しています。
■また、「人民元建て決済の促進」では、人民元の為替レートの安定化で企業の為替リスク軽減を支援するとしています。利子負担の減免などもあり、サービス面に加え、企業のコスト軽減にも配慮した内容です。

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【今後の展開】政策サポートが新たな成長ドライバーに

■上半期の輸出には国家戦略が影響
輸出額は、全体では低迷しましたが、品目別・地域別に見ると、国家戦略が反映していることがうかがわれます。鉄道・船舶の輸出が1割程度増えており、これは、付加価値の高いインフラ整備を目指す「中国製造2025」に沿った動きと見られます。地域では、パキスタン、サウジアラビア、ASEANが堅調に増加しており、「一帯一路」沿線国向けが増えた形です。

■税関の効率化を突破口に行政効率化を推進
今後も国家戦略に沿って、付加価値の高い品目や、戦略的に重要な地域との貿易が増えそうです。また、今回の「テコ入れ策」は、先端技術の輸入促進で産業を高度化させる戦略にも沿う動きです。今回の「テコ入れ策」は、行政を効率化する策とも言え、これにより企業の国際競争力が向上し、新たな成長ドライバーとして機能するかもしれません。

(2015年7月27日)

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