「国際収支」改善がルピーの強みに(インド)

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「国際収支」は、国全体の対外的な資金の収支を表します。その国の通貨の需給にも影響するため、為替市場で材料とされることが多い指標です。「国際収支」を大まかに見ると、主に輸出入の収支を表す「経常収支」、投資などに関する「資本収支」、それらの収支の結果としての「外貨準備増減」があります。インドでは、「国際収支」が改善傾向にあります。

【ポイント1】経常収支の赤字が大幅に減少

輸入減少で貿易収支が改善
■インドは、経常収支の赤字が大きいことが経済面の弱みとされてきました。ITサービス産業の強みや海外に住むインド人からの送金で、サービス収支と所得収支が黒字基調な一方、製造業が未発達で輸出の拡大が遅れ、貿易収支が赤字になっていることが背景です。
■2015年1-3月期は、経常収支の赤字が前期から大幅に減少しました。内需減速から輸入が大きく減少し、貿易収支(輸出-輸入)の赤字が縮小したことが背景です。

【ポイント2】資本収支の黒字が増加

海外からの設備投資や証券投資が増加
■2015年1-3月期は、資本収支の黒字が前期から増加しました。資本収支の内訳を見ると、直接投資収支の黒字が増加しました。モディ首相のトップセールスや投資規制緩和策を受けて、海外からの設備投資など直接投資の流入が増えました。
■ また、債券や株式などの証券投資収支の黒字も大幅に増加しました。物価が落ち着いているなか、インド準備銀行(中央銀行、RBI)が1月と3月に合計0.50%の利下げを実施したことなどが好感されたと見られます(6月に0.25%追加利下げを実施)。

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【今後の展開】「国際収支」の改善は、今後もルピーの強みに

■ 外貨準備の増加額が拡大
経常収支の赤字が縮小するとともに資本収支の黒字が拡大し、外貨準備の増加額が拡大しました。外貨準備の一段の増加により、インドルピーが大幅に下落した際にルピーを買い支える余力が増したことになります。

■資本収支の黒字拡大など「国際収支」改善が強み
今月から開催される次期国会では、構造改革に向け財・サービス税(GST)導入や土地収用法案の成立が期待され、海外からの投資がさらに活性化する要因になります。物価安定や利下げへの期待はインドへの証券投資を後押しし、「国際収支」の改善は今後もルピーの強みになりそうです。

(2015年7月7日)

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