ギリシャの「資本規制」解除に向けて(欧州)

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ギリシャでは、6月29日から「資本規制」が実施されています。「資本規制」は、銀行の破たんが予想される時などに、資金の自由な移動を制限することです。キプロスの例では、解除まで「資本規制」は約2年間続きました。5日のギリシャの国民投票の結果にもよりますが、ギリシャの銀行の健全性が確保され、預金流出が抑制されることなどが「資本規制」解除の条件と見込まれます。

【ポイント1】 「資本規制」により、銀行の健全性を確保

銀行の破たん回避

■ギリシャでは「資本規制」により、6月29日から7月6日まで、銀行は休業、ATMでの預金引き出しは1日60ユーロに制限、海外への送金や現金の持ち出しも制限されています。
■ギリシャの銀行は、今年に入り預金流出が続き、欧州中央銀行(ECB)が緊急流動性支援(ELA)を続けて資金繰りを助けてきました。このELA増額が28日にストップしたため、銀行の破たん回避を目的に「資本規制」が導入されました。

【ポイント2】 キプロスでは銀行税導入検討から、預金流出が拍車

「資本規制」は約2年後に解除

■2013年にキプロスで行われた「資本規制」は、一部の銀行に巨額の不良債権が発生し、破たん懸念が高まったことが理由でした。預金カットや銀行税導入が検討され、預金流出に拍車がかかりました。
■キプロスではその後、銀行の破たん処理費用の一部を大口預金者が負担することなどを条件に、欧州連合(EU)などが資金支援しました。「資本規制」は段階的に約2年をかけて解除されました。

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【今後の展開】 国民投票の結果、EUを軸にした支援で「資本規制」解除を期待

■ 「資本規制」解除は銀行の健全性確保が条件
 銀行の健全性確保には、預金の流出が止まる、債権回収を急ぐ、第三者の支援を得る、の3つが考えられます。EUの欧州金融安定化基金(EFSF)の出資やECBによるELAの増額などの第三者の支援で預金流出が抑制されると、「資本規制」が緩和、解除される条件になると見込まれます。

■国民投票の結果、EUとの協議再開を期待
今後のギリシャ問題の行方は、5日の国民投票の結果に大きく左右されそうです。現状では、EU案を容認するユーロ圏残留希望派が、EU案拒否派を上回る、との見方が優勢です。ギリシャ国民にとって厳しい内容であるEU案の受け入れを前提とした協議が開始されることで、ギリシャへの金融支援が行われ、「資本規制」は解除に向かうことが期待されます。

(2015年7月3日)

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