「外国人旅行者」、年1,800万人超のペース(日本)

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日本を訪れる「外国人旅行者数」を知るには、日本政府観光局(JNTO)が発表する“訪日外客数”が参考になります。直近2カ月分は、「外国人旅行者数」の多い国・地域の推計値が公表され、それ以前の分は法務省統計に基づく暫定値として公表されます。確報値は翌年に公表されます。推計値では世界18カ国・地域、暫定値では世界36カ国・地域からの「外国人旅行者数」が把握できます。

【ポイント1】「外国人旅行者」の増加傾向が続く

政府の誘致施策や、円安、航空路線拡大が背景

■JNTOが17日に発表した5月の“訪日外客数”は、前年の同じ月から約50%増えました。例年5月は、4月の桜のシーズンと夏休みシーズンとの間で伸び率が鈍化する傾向があるとされますが、今年に入って増加のペースは衰えず単月としては前月に次ぐ過去2番目の記録となりました。近年のビザの免除、要件緩和や昨年10月からの免税品目の拡大に加え、円安、航空路線の拡大などが増加の背景です。
■年初から5月までの数値を年換算すると、1,800万人を超えるペースです。政府は2020年に「外国人旅行者数」を2,000万人に拡大する目標を掲げていましたが、早期達成が見えてきたこともあり、3,000万人に向けた体制整備を推し進める方針です。

【ポイント2】台湾、香港、インドが過去最高

今後のMERSの影響には注意

■国・地域別では、台湾、香港、インドが単月として過去最高となりました。また、英国、ロシアを除く18カ国・地域が5月として過去最高となりました。台湾や香港では、航空路線の拡大などが貢献しました。インドは5月が旅行シーズンとなっており、訪日プロモーションなどが貢献しました。
■中国は、前年の同じ月から約2.3倍と大きく伸びました。広州から大阪、福岡行きの増便や円安による買い物需要、訪日プロモーションなどが貢献しました。また韓国も同61.5%増と好調でした。ただし、同国における中東呼吸器症候群(MERS)については、影響がどのように出るか今後の経過が注目されます。

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【今後の展開】“インバウンド消費“は地方にも波及し、消費を下支え

■免税店は半年でほぼ倍増
「外国人旅行者」の増加傾向を受けて、免税店は昨年10月から今年4月までの半年間でほぼ倍増となりました。東北や九州など7県で免税店数が4倍以上に増え、地方の増加が際立っています。外国人旅行者による“インバウンド消費“は主要都市から地方にも波及していることがうかがえます。

■“インバウンド消費”拡大が消費を下支え
観光庁によると2015年1-3月期の外国人旅行者による旅行消費額は、前年同期比64%増加の7,066億円となりました。このペースが続けば年間では3兆円程度になると見られます。「外国人旅行者」の増加は今後も続くと見られ、“インバウンド消費“による、消費の下支えが期待されます。

(2015年6月23日)

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