「物価高」抑制に腰を据える(ブラジル)

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ブラジルでは、長年にわたり「物価高」が経済面の重要課題とされてきました。複雑な税制、手厚い労働者保護策、インフラ整備不足による高い物流コストなどが構造的な要因、いわゆる「ブラジルコスト」と指摘されてきました。最近では、政府の財政緊縮策による公共料金の引き上げや、干ばつによる野菜など食品価格の上昇、通貨安などが物価をさらに押し上げる要因になっています。

【ポイント1】「物価高」は構造問題

労働者保護、インフラ未整備がもたらすコストが物価を押し上げ
■ブラジル日本商工会議所によると、「ブラジルコスト」として、税制、労働者保護、インフラの未整備に関わるもののほか、治安対策としての警備費用や社用車への防弾対策、高金利などの金融コストが挙げられています。スーパーのレジが長蛇の列だったり、道路が渋滞で車が進まないといった時間のロスも一つのコストと考えられます。これらは、高い労働コストやインフラ未整備の影響の大きさを物語っており、構造問題化しています。

【ポイント2】中銀は連続利上げで物価抑制

「物価高」の長期化阻止に強い姿勢
■5月の消費者物価は、年+8.47%となり、1月以来ブラジル中央銀行(中銀)の物価目標(年+4.5%、±2.0%)の上限を超えています。家庭向け電気料金が+58.5%と高騰、食品・飲料も+8.8%と上昇しています。政府の補助金削減や干ばつによる食品の値上がりが主因です。
■ 中銀は、「物価高」が長引くことを警戒し、6月の会合で政策金利を0.50%引き上げ、13.75%としました。利上げは昨年10月以降6会合連続で、2013年4 月以降の利上げ幅は6.50%に達しています。

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【今後の展開】中銀・政府の政策による「物価高」是正に期待

■中銀の政策効果でレアルは落ち着き
これまでの利上げにもかかわらず、市場の年末の物価上昇率予想は+8.79%と高止まりしています。ただし足元では、レアルが落ち着きつつあるなど、利上げの効果が表れつつあります。1月に財務相に就任したレビ氏は「物価高」是正を優先課題と位置づけ、中銀とともに物価抑制に取り組む方針です。物価が落ち着く場合には、消費や投資の持ち直しにつながると期待されます。

■政府のインフラ整備で「ブラジルコスト」改善も
政府は6月9日、総額約1,984億レアル(名目GDP の3%強)にのぼるインフラ整備計画を発表しました。道路、港湾、鉄道、空港の整備は、景気押し上げとともに、物流の効率化を通じた「ブラジルコスト」の改善にもつながると期待されます。政府・中銀の腰を据えた「物価高」是正の取り組みが、早期に効果を発揮し、景気のマインドに好影響をもらすことが待たれます。

(2015年6月17日)

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関連マーケットレポート

2015年06月04日 ブラジル中銀が6会合連続の利上げ

2015年06月03日 続く「財政再建」への取り組み(ブラジル)

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