日本株に上昇余地があると考える理由 過去最高益更新がけん引する日本株式市場

日本株に上昇余地があると考える理由


【ポイント1】課題の多い時期に入る

オリンピック・パラリンピックなど

■日本株式市場は、年後半に向けて乗り越えなければならない課題を幾つか抱えています。以下、簡単に整理したいと思います。

■国内では7月23日に東京オリンピック、8月24日に東京パラリンピックが開催され、ワクチン接種の加速、デルタ株の感染拡大懸念が同時に進むことになります。一方、米国では、7月下旬の米連邦公開市場委員会(FOMC)、8月下旬のジャクソンホール会議で、資産買入の縮小(テーパリング)の時期や進め方など、今後の米金融政策の方向性を確認することになります。また、7月は前半から米国、下旬以降は日本のそれぞれ企業決算が発表されます。そして9月以降、日本は政局となる見通しです。

【ポイント2】ワクチン接種の加速に期待
70%達成は10月第1週と試算

■東京オリンピック・パラリンピックが感動を与える大会となることを期待しつつ、市場の関心事はワクチン接種が目に見えて加速化するかです。6月29日現在、日本の接種率は26.4%(1回接種、16歳以上人口比)です。ここまでに約4カ月と米国の2.8カ月に比べれば時間はかかっていますが、接種スピードは加速化する方向です。また、集団免疫が確保されるといわれる70%に達するのは10月第1週と試算されます。ワクチン接種の加速が確実となれば、米国で確認されたように、経済活動の再開と企業業績に対する自信につながり、日本においても市場センチメントの好転に寄与すると考えられます。

■また、米国の金融政策の正常化は着実に進む見通しです。タカ派的なスタンスを市場は織り込もうとしており、米連邦準備制度理事会(FRB)が決断すれば、市場の不透明感は一旦解消すると考えられます。2013年12月から2014年10月の資産買入縮小局面でも月次ベースで見ると米株は上昇しています。

【今後の展開】21年度に過去最高益を更新。好業績が株式市場をけん引

■菅首相はパラリンピック閉会後の9月解散を想定していると見られます。新型コロナ対応を重視すれば10月以降の可能性もあります。いずれにせよ、オリンピック・パラリンピックの安全・安心な運行やワクチン接種の加速化が確認されれば、政権の安定度も増すことになり、株式市場にはプラスとなります。

■このように市場の期待に影響を与えうるテーマは事欠きませんが、今後を見通す上で核となる企業業績について最後にまとめたいと思います。弊社は、過去最高益更新のタイミングを22年度から21年度に前倒ししました。米国の成長が加速し、年末から来年にかけて欧州や日本の回復も期待できます。日本の輸出企業にとっては大きな追い風となります。ワクチン接種が加速すれば70%に達するタイミングの前倒しもありえ、非製造業の回復に対する期待も膨らむ可能性があります。7月下旬以降の4-6月期決算発表、10月以降の年度上期の決算発表時では、予想利益の上振れが見込め、外部環境の好転もあって株式市場のモメンタムは大きく改善する見通しです。弊社は日経平均株価(着地ベース)は9月末で3万2,000円台、12月末で3万3,000円台を目指すと想定します。
(2021年7月2日)

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