米雇用統計は好調も、回復は道半ばで今後に期待 米株式市場は経済正常化を背景に回復を見込む

米雇用統計は好調も、回復は道半ばで今後に期待

【ポイント1】米雇用者数は37.9万人増

市場予想を上回る

■米労働省が3月5日に発表した2月の雇用統計によれば、非農業部門雇用者数は前月比37.9万人増と、2カ月連続の増加となり、事前の市場予想(18.2万人増・FactSet集計)を上回りました。内訳をみると、雇用者数増加の大半は飲食・宿泊を含む余暇・娯楽に集中しており、その他の業態はまちまちでした。

■2月の失業率は6.2%と、前月から0.1ポイント低下し、市場予想(6.4%・同)に反して、改善となりました。

【ポイント2】雇用の回復は道半ばで、今後に期待

■今回の雇用統計は久しぶりに好調な結果となりましたが、ここまでの雇用者数の回復は昨年3月、4月に失われた雇用の60%弱にとどまっています。

■米国では各種行動制限や新型コロナワクチン接種の進展によって、新規感染者数が大幅に減少してきています。今後は大型の追加経済対策も見込まれており、経済が加速していく事が予想されますが、労働市場の需給がひっ迫するにはまだゆとりが大きいと考えられます。

【今後の展開】今後は経済正常化を背景とした業績相場入りを想定

■5日の米株式市場は、雇用統計の改善を好感する形で、エネルギー、資本財サービス、通信サービスや素材など、いわゆる景気敏感セクターを中心に上昇しました。10年物国債利回りは一時は1.62%まで上昇しましたが、結果は前日比ほぼ変わらずの1.55%となりました。

■足元、株式市場は長期金利の上昇を受けやや不安定な動きとなっています。今後も景気改善や一時的な物価上昇を受けて長期金利が上昇する可能性があります。但し、労働市場にゆとりがある事から、本格的なインフレとなる可能性は高くなく、徐々に堅調な業績相場に入って行くと期待されます。

(2021年3月8日)

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