原油価格は新型コロナ前の水準を回復(2021年2月)ワクチン普及による経済正常化期待と協調減産が背景

原油価格は新型コロナ前の水準を回復(2021年2月)

【ポイント1】原油価格は1年1カ月ぶりに60ドル台を回復

WTIは、今年に入って24%上昇

■北米の代表的な原油指標であるWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物価格は、今年に入り上昇基調を強め、2月16日には、1バレル=60.05米ドルで取引を終了し、新型コロナ前の水準に戻りました。

■新型コロナワクチン接種の普及により経済活動が正常化に向かい、原油の世界需要回復期待が強まっています。そのような中、サウジアラビアが日量100万バレルもの自主的な追加減産を表明したことに加え、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟の主要産油国で構成するOPECプラスが協調減産を続けるスタンスを維持していることから、昨年末からの上昇率は24%に達しています。

【ポイント2】OPECは2021年の需要予測をやや上方修正

■2月11日に公表されたOPEC月報2月号によると、2020年の世界の原油需要実績見込みは前月から25万バレル上方修正され、日量9,026万バレルとなりました。一方、2021年の需要予想は日量9,605万バレルと、前月の同9,591万バレルから若干増加しました。前年比では同579万バレル増加すると予想しています。

■OPECは、「米国を中心に世界経済全体が回復するものの、ワクチン接種の遅れや変異株の出現が懸念」としています。

【今後の展開】需要回復を背景に堅調な展開

■今後は、原油需要回復に伴いOPECプラスの減産縮小や米国シェールオイルの生産拡大が視野に入ってきますが、懸念されていた欧米での新規感染者拡大も落ち着きを見せ始めており、ワクチン接種も進捗が見られています。米国の追加経済対策も期待されており、需要回復を背景に原油市場は堅調に推移しそうです。

■但し、このまま原油価格の上昇が続くと、インフレ期待の高まりを通じて長期金利の上昇を招き、堅調な株式市場にとって逆風となる恐れがあります。今後の金融市場を見るうえでも、原油価格の動向は重要となっています。

(2021年2月18日)

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