今年を振り返るキーワード5『2極化』相場

今年を振り返るキーワード5『2極化』相場

2020年の主要な株式市場は、新型コロナ感染拡大による経済活動の影響が深刻化した3月にかけて急落しましたが、その後は各国・地域による積極的な金融・財政政策と経済活動の再開を契機に反発に転じ、上昇基調に復帰しました。この間、国内外の株式市場では、新型コロナがもたらすニューノーマル(新常態)への適応度合いや業績動向の差を背景とした『2極化』相場が展開されました。

【ポイント1】新型コロナの影響を受け『2極化』が進展

■2020年の株式市場は新型コロナの影響を大きく受けた一年となりました。東証株価指数(TOPIX)はコロナ禍により一時年初来30%近い下落となりましたが、足元は若干のプラスとなっています。但し、その中身を見ると新型コロナがもたらすニューノーマルへの適応度合いや業績動向の差から、『2極化』が進展しました。

■TOPIX業種指数でみると、世界的にデジタル化の動きが加速していることから「情報通信業」や「電気機器」の株価が大きく上昇しており、巣ごもり需要の恩恵が大きいゲーム企業が含まれる「その他製品」も好調です。一方、移動制限などにより旅行・ビジネス共に需要が減少した「空運業」の株価は大きく出遅れており、景気悪化の影響を大きく受ける「銀行」や「鉱業」、「石油石炭」などエネルギー関連の株価も厳しいままです。

【ポイント2】同じ業種内でも個別銘柄の『2極化』進む

■同じ業種にあっても、コロナ禍が成長機会となる企業の株価は上昇し、非接触化など生活様式の変化が逆風となる企業の株価は出遅れとなっています。

■好調な「電気機器」でも、デジタル化の恩恵を受ける東京エレクトロンや日本電産の株価は好調ですが、ビジネス需要が減少しているキヤノンやリコーの株価は冴えません。

■また、「小売業」は概ねTOPIX並みの上昇率ですが、ニトリHDは在宅勤務の増加から机やいすなどの需要が強く、好調な業績を背景に株価は堅調です。

【今後の展開】構造改革による収益性の改善に期待

■足元、新型コロナワクチンの開発が進み、米英などでは接種が開始されたことから、景気回復に対する期待が高まり、『2極化』の巻き戻しも一部で進んでいます。但し、コロナ禍によってもたらされた時代の変化はもとに戻らないものもあると考えられ、企業はニューノーマルに適応するよう構造改革を進め、自助努力によって収益力の改善を図っていくことが求められます。

※個別銘柄に言及していますが、当該銘柄を推奨するものではありません。

(2020年12月25日)

印刷用PDFはこちら↓

今年を振り返るキーワード5『2極化』相場

関連マーケットレポート

2020年12月23日 今年を振り返るキーワード3『菅内閣』

2020年12月21日 今年を振り返るキーワード2『米大統領選挙』

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会