IMFの世界経済見通しは経済再開を受け上方修正 依然不透明要因は多いが、世界経済は回復へ

IMFの世界経済見通しは経済再開を受け上方修正

【ポイント1】2020年の世界経済の成長率見通しは+0.8ポイント上方修正

先進国は上方修正、新興国は下方修正

■13日に発表された国際通貨基金(IMF)の世界経済見通しでは、2020年の世界経済の成長率が▲4.4%と、前回6月時点の見通しから+0.8ポイント上方修正されました。今回の上方修正は、欧米を中心に4-6月期の実績が想定より良かったことに加え、主要各国・地域における積極的な財政・金融政策によって、世界経済が7-9月期以降、回復基調に戻っていることが要因となりました。

■先進国は新型コロナの感染再拡大の懸念は残りますが、大規模な経済対策などによって経済活動が回復に向かっていることから+2.3ポイント上方修正されました。特に、米国は+3.7ポイント、ユーロ圏は+1.9ポイントと、大幅な修正となりました。新興国は、ロシアやブラジルが大幅上方修正となりましたが、感染拡大が厳しいインドの下振れなどから▲0.2ポイントの下方修正となりました。

【ポイント2】先行きの不透明感は継続

新型コロナの感染状況、ワクチン開発と各国・地域の経済対策がポイント

■IMFはここまでの回復が想定以上であったとしながらも、新型コロナの感染が続いている状況下にあって、引き続き、予測は通常よりも不確実性が高いとしています。

■ワクチン開発など医療進歩が想定以上に進む場合や、追加的な経済対策が講じられる場合、予測は上振れることとなります。一方、ワクチン開発が遅れる場合、ワクチンが十分に行き渡らない場合や、感染再拡大により厳格なロックダウン(都市封鎖)が行われる場合、予測は下振れることとなります。

【今後の展開】IMFは2021年+5.2%成長を予想

■IMFは上述の通り、各種要因により上振れ下振れの可能性はあるものの、2021年の世界経済成長率は+5.2%へ回復するとしています。弊社は2020年▲4.0%、2021年+6.2%の成長率を見込んでいます。今後は、ワクチン開発の進展を待ちつつ、新型コロナの感染状況と経済再開のバランスをとりながら世界経済が緩やかに回復に向かうことを確認する展開となりそうです。

(2020年10月14日)

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