急落した米国株式市場 期待と実態のせめぎ合いが続こう

急落した米国株式市場 期待と実態のせめぎ合いが続こう

【ポイント1】NYダウは史上4番目の下落幅

新型コロナウイルス感染の再拡大の兆しも嫌気

■11日の米国株式市場は大きく調整しました。NYダウは1,861.82ドル安の25,128.17ドルと3月16日以来の大幅下落となりました。欧州株や日本株も下落しました。これは株式相場にやや過熱感が出ていたところに、11日の政策決定会合で米連邦準備制度理事会(FRB)が経済の先行きに慎重な見通しを示したこと、米国で新型コロナウイルス感染の再拡大の兆しが表れていること等が嫌気された模様です。

【ポイント2】FRBの見通しは市場が悲観するような内容ではない

新型コロナ感染の再拡大には注意が必要だが、ソーシャルディスタンスが重要

■FRBの経済見通しは、今年のGDP成長率予想が▲6.5%、来年が+5.0%で、失業率は今年の年末が9.3%、来年が6.5%でした。コンセンサスでは、今年のGDP成長率が▲5.7%、来年が+4.0%ですので、今年の落ち込みはやや深めですが、来年は大きくリバウンドするとFRBは見込んでいます。失業率の見通しもコンセンサスは来年が8.0%ですので、FRBの見通しは市場が悲観するような内容ではなかったと考えられます。

■新型コロナ感染の再拡大については、テキサス州、カリフォルニア州、フロリダ州等で新規感染者数が増加しています。ただ、必ずしも経済活動の再開と新規感染の再拡大が一致している訳ではないようです。経済活動の再開よりもマスクの着用や人との距離の維持(ソーシャルディスタンス)が守れているかが重要と見られます。

【今後の展開】期待と実態のせめぎ合いが続こう

■株式市場にはやや過熱感がありました。株式市場の評価で一般的に使われる12カ月先予想ベースの株価収益率(PER)で見ると22倍程度で、株価は期待を織り込み過ぎていたと見られます。経済活動は改善に向かいつつあるとはいえ、実態経済が新型コロナウイルスの感染が拡大する前の姿に近づくには時間を要します。企業業績もようやく底を打って改善に向かう段階です。

■株式相場は将来への期待を織り込んで動くため、実態に先行することは不思議ではありません。ただ、新型コロナウイルス感染の収束と経済や業績の改善が一本調子で進むとは限りません。株式市場は今後もその進捗への期待を反映して上昇トレンドが続く可能性が高いと見られますが、実態を確認して調整する場面は今後も繰り返されると見られます。

(2020年6月12日)

印刷用PDFはこちら↓

急落した米国株式市場 期待と実態のせめぎ合いが続こう

関連マーケットレポート

2020年6月11日 FRBはゼロ金利政策を22年末まで維持

2020年5月28日 米企業業績は4-6月期に大底を形成へ

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
世界の経済やマーケットの動向や、マーケットで注目される旬なキーワードを運用のプロがわかりやすく、丁寧に説明します。
■当資料は、情報提供を目的として、三井住友DSアセットマネジメントが作成したものです。特定の投資信託、生命保険、株式、債券等の売買を推奨・勧誘するものではありません。
■当資料に基づいて取られた投資行動の結果については、当社は責任を負いません。
■当資料の内容は作成基準日現在のものであり、将来予告なく変更されることがあります。
■当資料に市場環境等についてのデータ・分析等が含まれる場合、それらは過去の実績及び将来の予想であり、今後の市場環境等を保証するものではありません。
■当資料は当社が信頼性が高いと判断した情報等に基づき作成しておりますが、その正確性・完全性を保証するものではありません。
■当資料にインデックス・統計資料等が記載される場合、それらの知的所有権その他の一切の権利は、その発行者および許諾者に帰属します。
■当資料に掲載されている写真がある場合、写真はイメージであり、本文とは関係ない場合があります。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社
金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第399号
加入協会:一般社団法人投資信託協会、一般社団法人日本投資顧問業協会、一般社団法人第二種金融商品取引業協会