米雇用統計は予想を大幅に上回る改善(2020年5月)米株式市場は雇用回復で大幅高

米雇用統計は予想を大幅に上回る改善(2020年5月)

【ポイント1】米雇用者数は251万人増

失業率は予想に反し低下

■米労働省が6月5日に発表した20年5月の雇用統計は、非農業部門雇用者数が前月比251万人増と、前月の▲2,069万人減から一転してプラスに転じました。事前の市場予想は▲750万人減と、大幅な悪化が見込まれていました。新型コロナウイルスの感染拡大で停止した経済活動の一部再開により、想定以上に早く雇用者数が回復しました。

■5月の失業率は13.3%と、市場予想(19.0%)に反して低下し、戦後最悪となった前月(14.7%)から改善しました。

【ポイント2】雇用改善は額面通りには受け取れない

■雇用統計は米経済の持ち直しが始まっている事を示しましたが、今回の大幅な改善は額面通りに受け取れない部分があります。5月の雇用者数には営業再開による復職者と、政府の中小企業支援によって賃金が支払われただけという統計上の雇用者の2パターンが混在しているためです。雇用統計がどれだけ経済再生の実態を表しているのかは、まだよく分かりません。このため6、7月の雇用統計を確認する必要があります。

【今後の展開】コロナ後の景気は当面回復ペースが速まるものの、その後鈍化へ

■雇用統計の予想外の改善を受けて、5日の米国市場では、ダウ工業株30種平均が前日比829ドル高の2万7,110ドルと大幅に上昇し、約3カ月ぶりの高値を付けました。一方、米10年物国債の利回りは0.9%程度に上昇し、円相場は109円60銭近辺と約2カ月ぶりの円安・ドル高水準となりました。

■経済の回復が想定よりも早いとの見方から、市場ではリスク選好の動きが強まっています。ただし、コロナショック後の景気回復は、経済再開により序盤はやや早めの回復となるものの、その後はペースが緩慢になっていくとみられます。このため期待先行のリスク選好の動きは徐々に収まると思われます。

(2020年6月8日)

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