減速感が強まった中国経済(2019年5月) 米中貿易摩擦が激化するなか、米中協議の進展に期待

 

 

減速感が強まった中国経済(2019年5月)

【ポイント1】固定資産投資は減速20190515ch1

民間投資の伸びが鈍化

■中国国家統計局は15日、主要経済指標を発表しました。1~4月の固定資産投資は前年同期比+6.1%と市場予想の同+6.3%を下回り、1~3月(同+6.3%)から減速しました。

■固定資産投資の内訳をみると、約6割を占める民間投資が同+5.5%と、1~3月(同+6.4%)から伸びが鈍化しました。一方、インフラ投資は同+4.4%と1~3月から横ばいでした。

【ポイント2】鉱工業生産は大幅鈍化20190515ch2

小売売上高も大きく減速

■4月の鉱工業生産は前年同月比+5.4%と市場予想の同+6.5%を下回り、3月(同+8.5%)から伸び率が大幅に鈍化しました。4月の増値税引き下げに先駆けた生産増がみられた3月からの反動が出たものと考えられます。

■4月の小売売上高は前年同月比+7.2%と、市場予想の+8.6%を下回り、3月(同+8.7%)から大きく減速しました。4月は休暇日数が前年より少なかったことも影響したとみられます。

【今後の展開】米中貿易摩擦が激化するなか、米中協議の進展に期待

■トランプ米政権は10日、2,000億米ドル分の中国製品への追加関税を10%から25%へ引き上げました。これに対し、中国は13日、報復措置を打ち出しました。さらに、米国は13日、中国からの輸入品約3,000億米ドル分に課す制裁関税「第4弾」を公表するなど、米中関税合戦は激化しています。

■足元の経済指標が減速するなか、米中貿易摩擦がこのまま継続すれば、景気に下押し圧力がかかることは避けられません。このため、中国政府は景気対策を総動員し、景気失速を回避させるとみられます。今後、両国が歩み寄る可能性があり、米中首脳会談の実現など米中協議が進展することが期待されます。

(2019年5月15日)

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