来週の金融市場見通し(2024年12月2日~2024年12月6日)

■来週の見通し


トランプ次期米大統領が、メキシコとカナダ、中国に対する関税を強化する方針を示したことを受け、米国の保護主義的な政策への警戒感が広がりました。ただ、トランプ氏とメキシコ大統領がメキシコ経由の移民流入阻止で合意したと伝えられ、関税への過度な警戒が和らぎました。米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、今後も緩和的スタンスを維持することが改めて確認されました。来週は、トランプ氏、米連邦準備理事会(FRB)高官の発言を確認しながら、週末の米雇用統計を待つことになります。

◆株価 :値動きが激しい展開か

来週の日本株は、米国で発表される雇用や景況感に関する経済指標の発表を受けて、激しい値動きになりそうです。米経済の底堅さを示す経済指標が発表されると、株価を押し上げることが期待できます。事業法人による自社株買いとみられる資金流入が高水準で継続していることは株価を支えそうです。ただ、海外投資家が2週間連続先物で日本株を売り越しており、海外投資家の資金が流入に転じなければ、上値の重い動きが続くことが予想されます。

◆長期金利 :レンジ継続か

トランプ氏が米財務長官に赤字縮小を掲げるなど財政規律を重視するベッセント氏を指名したことや、景気を下支えするために欧州中央銀行(ECB)が大幅利下げに踏み切るとの思わくなどから、米欧の長期金利が低下したことを受け、国内の長期金利も低下する動きになりました。ただ、日銀が12月の金融政策決定会合で追加利上げに踏み切るとの観測から、一段の低下は限定的とみられます。10年国債入札も確認したいところです。

◆為替:一進一退

ドル円は、レンジ内で一進一退の展開となりそうです。トランプ氏が、対中国などの関税引き上げを表明したことに伴うリスク回避の動きに加え、12月の米利下げ観測が高まりつつあること、他方、日銀の12月利上げ観測が高まりつつあることなどから、ドル円の上昇余地は限られそうです。とはいえ、米景気は堅調であり、トランプ氏の政策が実行されれば、インフレ再燃のリスクが大きいとの見方が強いことから、ドル円の下落余地も限られそうです。

◆Jリート :押し目を探る

Jリート市場は、長期金利の低下は押上げ材料も、トランプ氏による関税引き上げへの警戒などから、国内株が下落したことを受けて投資家心理が悪化し、売りが優勢になりました。日米の長期金利の上昇が一服していることは安心材料です。予想分配金利回りは5%程度まで上昇しており、長期金利を差し引いても4%弱と、利回り面での妙味は高まっています。日銀の利上げはある程度織り込まれており、押し目を探る動きが見込まれます。

来週の注目点

法人企業統計調査(24/7-9月期) 12月2日(月)発表

法人企業統計調査によると、4-6月期の全規模・全産業(金融・保険業を除く)の経常利益は前期比6.6%と、2四半期連続の増益となりました。また、設備投資(ソフトウェア含む)は、同1.2%と、2四半期ぶりに増加しました。

7-9月期についても、経済活動の回復や価格転嫁の進展を背景に、経常利益は改善が続いたとみられます。また、好調な企業収益に加え、省力化・デジタル化に向けた投資意欲の高まりなどを受け、設備投資も回復したとみられます。

米雇用統計(11月) 12月6日(金)発表

10月の米雇用統計によると、非農業部門雇用者数は前月差1万2,000人増と、市場予想を大きく下回りました。ストライキやハリケーンといった一時的な要因が下押しに作用しました。失業率は4.1%と前月から横ばいで推移しました。また、平均時給は、前月比0.4%、前年比4.0%増となりました。

11月の非農業部門雇用者数は前月差20万人増、失業率は4.2%、平均時給は前月比0.3%増程度を想定しています。ストライキやハリケーンによる悪影響がはく落することで、雇用の減速ペースは緩やかになることが予想されます。

 

 

 

 

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