来週の金融市場見通し(2024年9月9日~2024年9月13日)
■来週の見通し
米国の労働市場が軟化しているとの見方が強まる中、6日発表の米雇用統計で米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が維持できるか、あるいは景気懸念が再燃するか、また9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%の大幅利下げ観測が強まるか注目されます。他方、日銀の高田審議委員は、追加利上げについて毎回の経済状況をみて対応する姿勢を示しました。来週は、米雇用統計や米物価指標を受けた米金融市場の動きに加え、日銀高官の発言なども確認しながら方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :値動きの激しい展開か
来週の株価は、米経済指標や政治動向に振らされる展開が予想されます。特に、6日の米雇用統計発表後の9日の株価は値動きの激しい展開が予想されます。米労働市場の軟化を示す内容になると、円高が進み株価を押し下げる恐れがある一方、堅調な内容になると、円安が進み株価を押し上げることが期待されます。また、10日に米大統領選候補者討論会、12日に自民党総裁選の告示が予定されており、政治家の発言が市場を動かす場面もありそうです。
◆長期金利 :居所を探る
長期金利は、株価の大幅下落を受けて安全資産とされる国債が買われ、低下する動きになりました。米労働市場の軟化を背景に米金利が低下したことも国内金利を押し下げました。もっとも、日銀の追加利上げも意識され、一段の低下は限定的でした。米雇用統計で0.5%の大幅利下げ観測が強まった場合には、国内金利にも低下圧力がかかることも想定されます。5年国債、20年国債入札や日銀高官の発言なども確認したいところです。
◆為替:上値重い
ドル円は、来週末に発表される8月の米雇用統計をにらみながら、当面、神経質な展開が見込まれます。ドル円は、上値の重い展開が見込まれます。8月の米供給管理協会(ISM)製造業景況指数や米雇用動向調査・求人件数が市場予想を下回ったことなどから、米景気後退懸念が再燃しています。それを受け、米長期金利が低下しており、ドル円も142円台まで下落しています。9月の米利下げ開始が確実視されている中、利下げ幅が0.5%と大幅になる可能性も高まっており、週末の米雇用統計次第とはいえ、ドル円の上値余地は限定的とみられます。
◆Jリート :米雇用統計に注目
来週のJリート市場は、6日発表の米雇用統計の結果次第で上昇下落の両睨みの展開となりそうです。米雇用統計が良好な結果となれば東証リート指数(配当なし)は再び1,800ポイントを目指す展開になることが見込まれ、逆に米国の景気不安が強まる結果となれば、再びリスク回避的な動きが強まり、下値を模索する展開となりそうです。ただし、下落した場合でも、下値については限定的になると予想しています。
■来週の注目点
法人企業景気予測調査(24/7-9月期) 9月12日(火) 8時50分発表
4-6月期の法人企業景気予測調査では、大企業・全産業の景況判断指数(BSI、季節調整値)は、2.5%ポイントと好不調の基準となるゼロを上回りました。1-3月期の景況感を下押した自動車の減産や能登半島地震の影響がはく落したことで、製造業、非製造業ともに景況感が改善しました。
7-9月期のBSIについてもゼロを上回り、景況感の改善が続く見込みです。賃上げや所得税の定額減税といった個人消費を取り巻く状況の改善や、インバウンド需要の回復などが景況感を押し上げるとみられます。
米消費者物価指数(8月) 9月11日(水) 21時30分発表
7月の米国の消費者物価指数(CPI)は、総合指数が前年比2.9%上昇と市場予想を下回りました。変動の大きい食品、エネルギーを除くコア指数は同3.2%上昇と市場予想通りの結果でした。
8月のCPIは、総合指数が前年比2.6%、コア指数が同3.2%程度の上昇が予想されます。米連邦準備理事会(FRB)による既往の金融引き締めを背景に、幅広い品目でインフレが鈍化すると見込まれますが、高止まりの兆候がみられる家賃の動向が注目されます。
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