来週の金融市場見通し(2024年8月19日~2024年8月23日)
■来週の見通し
7月の米生産者物価指数(PPI)の伸びが鈍化したのに続き、米消費者物価指数(CPI)も前年比2.9%と2021年3月以来の3%割れとなり、米連邦準備理事会(FRB)が利下げに動きやすくなるとの見方が広がりました。他方、日本の4~6月期の実質国内総生産(GDP)は2四半期ぶりのプラス成長となり、経済の強さを再確認した格好となりました。来週は7月の全国CPIに加え、ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演で、9月以降の利下げについて具体的な示唆があるかが注目されます。
◆株価 :上値の重い展開か
今週の株価は、米国の景気後退懸念が和らいだことを好感し、堅調な展開となりました。来週の株価は、パウエルFRB議長の講演を控えて、上値の重い展開となりそうです。また、岸田首相が自民党総裁選に出馬しない意向を表明したことで、国内政治の不透明感が高まっていることも上値を抑えそうです。ただ、日本の名目GDPが600兆円を超えるなど、日本経済の回復を好感した資金流入が増加し、一段と株価が上昇する展開も想定されます。
◆長期金利 :パウエル議長待ち
長期金利は、4~6月期の実質GDPが市場予想を上回ったことや、米小売売上高が予想を上回って伸び、米金利が上昇したことを受け、上昇する動きになりました。米景気減速への警戒が和らぎ、FRBによる大幅利下げ観測が後退していることから、国内金利も低下しにくい状況です。日銀高官から追加利上げに慎重な発言がありましたが、パウエル議長がタカ派寄りの発言をした場合には、金利上昇圧力が強まることも想定されます。
◆為替:ドル底堅い
ドル円は、変動性の高い中、底堅い展開となりそうです。日米株価急落の後、市場はいったん落ち着きを取り戻してはいるものの、変動性の高い状況は続きそうです。足元、米国景気の過度な減速懸念は和らいでおり、米長期金利の低下余地は限られそうです。また、日銀の早期利上げ観測が後退していることから、ドル円は底堅い展開が見込まれます。とはいえ、再び、リスク回避の動きが優勢になった場合、ドル円が下値を模索する可能性は残ります。
◆Jリート :上値を試す展開か
来週のJリート市場は、上値を試しに行く展開を想定しています。日銀副総裁が追加利上げに慎重な姿勢を示して以降、Jリート市場は株式市場とともに大きく反発しています。来週もこの上昇の流れが継続し、東証リート指数(配当なし)が、1,750ポイントを上抜けするか注目したいところです。但し、米国の景気減速懸念が再燃した場合には、市場のリスク回避的な動きが強まる可能性もあり、注意が必要です。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(7月) 8月23日(金) 8時30分発表
6月の全国・コア消費者物価指数(コアCPI、生鮮食品を除く総合)は前年比2.6%と前月(同2.5%)から伸びが加速しました。政府による電気・ガス代補助金の縮小がエネルギー価格を押し上げたほか、耐久消費財やサービスの価格も伸びが拡大しました。
7月のコアCPIの伸びはさらに加速する見込みです。電気・ガス代補助金が一時的に終了するため、エネルギー価格が一段と上昇するとみられます。人件費の増加などを背景に、サービス価格も高い伸びが続くでしょう。
ユーロ圏製造業PMI(8月) 8月22日(木) 17時00分発表
7月のユーロ圏製造業購買担当者景況指数(PMI)は45.8と、好不調の境目となる50を下回る状況が続いています。中国経済の減速などを受けて、ドイツを中心に景況感の改善が足踏みしています。
8月の製造業PMIも低迷が続くと見込まれます。欧州中央銀行(ECB)による利下げが内需を押し上げるとみられますが、中国経済の力強い回復が見込めないことから、製造業の調整局面は長引く可能性があります。
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