来週の金融市場見通し(2024年7月29日~2024年8月2日)

■来週の見通し

河野デジタル相の円安をけん制し、利上げを求めるような発言に続き、茂木幹事長も「金融政策を正常化する方針をもっと明確に打ち出す必要がある」と述べたことなどを受け、日銀の追加利上げが意識されています。来週の会合で日銀が国債買入れ減額計画だけでなく、利上げを決定するとの思わくもくすぶります。他方、米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持の見込みですが、9月利下げへの何らかの示唆があるかが注目されます。本格化する決算発表に加え、週末の米雇用統計なども確認したいところです。

◆株価 :不安定な動きか

来週の株価は、日米の金融政策に関する会合や米主要ハイテク企業の4-6月期決算発表が予定されており、不安定な動きが予想されます。市場は業績の改善をある程度織り込んでおり、米企業の決算内容が市場予想を下回る内容になると、株式市場は嫌気しそうです。ただ、日銀が金融政策正常化に慎重な姿勢を示した場合や、米連邦準備理事会(FRB)が今後の利下げを示唆した場合、株価を押し上げることが期待できます。

◆長期金利 :日米金融政策にらみ

長期金利は、日銀が来週の会合で利上げを検討すると伝わったことから、一時1.1%まで上昇したものの、その後は上げ幅を縮小しました。来週の日銀会合では、国債買入れについては現行の半分程度までの減額が見込まれています。国債買入れ減額に加えて、利上げが決定された場合には、荒れた動きになることも想定され注意が必要です。他方、FOMCで9月利下げが示唆された場合には、国内の長期金利の上昇を抑制しそうです。

◆為替:上値重い

ドル円は上値の重い展開となりそうです。米インフレ圧力が後退する中、米長期金利は低下しており、日米金利差は縮小しています。また、来週日銀が国債買入れ額の減額と同時に追加利上げを実施するとの観測が広がっていることから、ドル円の上値は重そうです。とはいえ、日米金利差は依然ドルの下支え要因であること、ここまでの下落が急であったことなどを踏まえると、日銀政策決定会合の結果次第では、相応の調整を迎える可能性もあります。

◆Jリート :日銀会合に注目

来週のJリート市場は、31日の日銀金融政策決定会合の結果次第で、上昇下落の両睨みの展開となりそうです。日銀会合で国債買入れオペ減額の具体策などの公表だけでなく、追加利上げが実施されるのかどうか注目です。利上げはJリートの下押し圧力になるものの、ある程度利上げは織り込まれているほか、仮に金融政策正常化に慎重な姿勢が示されると、安心感から割安感に着目した一定の買い戻しが入る可能性もあります。

来週の注目点

消費動向調査(7月) 7月31日(火) 14時00分発表 

6月の消費動向調査では、消費者態度指数が前月差0.2ポイントと小幅な上昇にとどまりました。2023年前半から、消費者マインドは改善傾向にありましたが、足元では足踏み感が強まっています。内訳をみると、暮らし向きに関する指標を中心に低下しており、物価高の長期化が家計の消費意欲を抑制しているとみられます。

7月の消費者態度指数は上昇することが見込まれます。春闘の賃上げ率が高い伸びになった影響が広がる見通しであることに加えて、株高による資産価格の上昇も消費者マインドの追い風となりそうです。

米雇用統計(7月) 8月2日(金) 21時30分発表

6月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月差20万6,000人増となり、市場予想を小幅に上回りました。平均時給は前月比0.3%上昇、前年比3.9%上昇と、いずれも伸びが鈍化しました。また、失業率は4.1%と前月から上昇しました。

7月の非農業部門雇用者数は前月差17万5,000人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は4.1%程度を想定しています。これまでの米連邦準備理事会(FRB)の利上げによる影響が広がりつつあり、緩やかながら景気の減速を示す結果となりそうです。

 

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