来週の金融市場見通し(2024年6月10日~2024年6月14日)

■来週の見通し

4月の米雇用動態調査で非農業部門の求人件数が 2021 年2月以来の低水準となるなど、労働需給の緩和を示す雇用指標の発表が相次ぎ、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始が遅れるとの懸念が後退しています。他方、植田日銀総裁は国債買入れについて、今後は減額することが適当との認識を示しました。来週の米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持の見込みですが、パウエル議長の発言に加え、政策金利見通しなどが注目されます。また、日銀会合では政策正常化が示唆されるかも確認したいところです。

◆株価 : 底堅い動きか

来週は、為替が円安水準で推移していることや国内企業の株主還元の動きが拡大していることを背景に底堅い動きが見込まれます。また、半導体市況の回復期待から関連銘柄が上昇していることも追い風です。ただ、日米の金融政策に関する会合を受けて、内外の金利が上昇すると株式市場を下押しする可能性があります。また、今週末の米雇用統計や 12 日の 5 月の米消費者物価指数発表後は、相場の変動が激しくなることが想定され警戒が必要です。

◆長期金利 :日米金融政策にらみ

米労働需給の緩和を示す雇用指標が相次いだことを受け、米金利とともに国内の長期金利も低下する動きになりました。10 年国債、30 年国債入札が順調な結果となったことも国内金利を押し下げました。来週のFOMCで利下げに前向きな姿勢が示されると、米金利とともに国内金利にも低下圧力がかかることも想定されます。ただ、国債買入れ減額などの日銀の政策正常化も意識されることから、金利低下も限定的になりそうです。

◆為替:方向感見定めにくい

ドル円は、底堅い地合いが続くとみられるものの、方向感の見定めにくい展開となりそうです。米労働市場が冷え込み始めている兆候が散見される中、年内の利下げ観測が再び高まっており、米長期金利は低下しています。それを受け、ドル円の上値余地も限定的とみられます。ただ、来週は、今週末に発表される米雇用統計の結果次第では変動性が高まる可能性も高く、労働市場の堅調さを示唆する結果となれば、ドル円は再び上昇する可能性があります。

◆Jリート :上値は重そう

Jリート市場は、引き続き上値の重い状況が続きそうです。足元、長期金利はやや低下したものの、来週はFOMCや日銀金融政策決定会合も控えており、仮に国債買い入れオペの減額が決定されると国内長期金利に上昇圧力がかかることが見込まれます。割安感から分配金利回りに着目した一定の買いは期待されるものの、国内外の金利動向の影響を受け、下値を切り下げる展開も想定されます。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(5 月)  6 月 10 日(月) 14 時 00 分発表 

景気ウォッチャー調査の現状判断指数 (DI)は、4 月に前月比 2.4 ポイント低下の 47.4 と、2か月連続で 50を下回りました。円安を受けた値上げが消費の重しとなり、家計動向関連、企業動向関連ともに下落しました。

5 月の現状判断指数は、50 を下回る状況が続きそうです。原材料価格の上昇を十分に販売価格に転嫁できない企業が多く、利益が圧迫されることが見込まれ、家計動向関連、企業動向関連ともに弱い動きとなる見込みです。

米消費者物価指数(5 月)  6 月 12 日(水) 21 時 30 分発表 

4 月の米消費者物価指数(CPI)は総合で前年比 3.4%の上昇となり、前月より伸びが鈍化しました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIも同 3.6%の上昇と前月より伸びが鈍化しました。

米連邦準備理事会(FRB)による利上げなどを受け、米インフレは緩やかながら低下傾向にあるとみられます。ただ、やや陰りが見えてきたとはいえ、基本的には堅調な米労働市場などを背景に、今後のインフレ低下も緩慢なものとなりそうです。5 月は総合で前年比 3.4%程度、コアは同 3.5%程度の伸びを想定しています。

 

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