来週の金融市場見通し(2024年4月8日~2024年4月12日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)高官からは早期の利下げに慎重な発言はあるものの、米サプライマネジメント協会(ISM)製造業景況感指数が事前予想を上回るなど堅調な経済指標が相次ぐ中、米金融市場では依然として 6 月の利下げ開始、年内3回の利下げ観測が根強い状況です。他方、日銀は利上げに慎重姿勢とみられます。来週は、5日の米雇用統計を受けた米金融市場の動向に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨、米消費者物価指数(CPI)なども確認しながら方向感を探ることになりそうです。

◆株価 : 調整の可能性も、下落幅は限定的か

今週の日経平均は、原油価格など商品市況の高騰を受けて米連邦準備理事会(FRB)の利下げ期待が低下したことを嫌気し、下落しました。来週は、米CPIが上振れると、一段と調整する可能性があります。ただ、国内企業の業績は改善しており、下落幅は限定的となることが見込まれます。また、新しい少額投資非課税制度(NISA)を活用した個人の買いが増加していることも株式市場を支えることが期待されます。

◆長期金利 :米金利にらみ

パウエルFRB議長のほか、クリーブランド連銀のメスター総裁などFRB高官から、早期の利下げに慎重な発言が相次いだことや、堅調な米経済指標を受けて、米金利とともに国内の長期金利も上昇する動きになりました。もっとも、10 年国債入札は順調な結果で、需給は崩れていません。米金利に振らされながらも、国内金利の一段の上昇は限定的とみられます。5年国債、20 年国債入札も確認したいところです。

◆為替方向感模索

ドル円は、レンジ内で方向感を模索する展開が見込まれます。堅調な米景気を示唆する経済指標が散見される中、米早期利下げ観測がやや遠のいています。他方、日銀は金融政策変更後も金融緩和継続の姿勢を明確にしており、日米の実質金利差は依然強いドル買い要因となりそうです。また、日銀の介入警戒感が強い中、ドル円の上値も限定的とみられますが、米雇用統計の結果次第では、それ以降、変動性が高まり、上下に大きく振れる可能性があります。

◆Jリート :戻りを探る

東証 REIT 指数は、堅調な米経済指標やFRB高官からの早期利下げに慎重な発言などを受けて、米金利とともに国内金利が上昇したことを嫌気し、軟調な動きになりました。FRBの利下げ開始が後ずれするとの懸念は、引き続き重しになりそうです。とはいえ、東京都心のオフィス市況に底打ちの兆しがみられる中、資産価格と比べた割安感や、4%台半ばと相対的に高い分配金利回りに着目した買いが下支えしそうです。

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(3月) 4月8日(月) 14時00分発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、2月に前月比1.1ポイント上昇の51.3となりました。春節に伴う観光客の増加やバレンタインデーなどのイベント関連の消費が好調で、家計動向関連、企業動向関連ともに上昇しました。

3月の現状判断指数は、改善しそうです。株高や春闘で前年を上回る賃上げが実現する見込みとなったことで、消費の回復が期待されるため、家計動向関連、企業動向関連ともに前月を上回る見通しです。

米消費者物価指数(3月) 4月10日(水) 21時30分発表

2 月の米消費者物価指数(CPI)は総合で前年比 3.2%の上昇となり、伸びが加速しました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは同 3.8%の上昇と伸びがやや鈍化しました。

米連邦準備理事会(FRB)が進めてきた利上げなどを受け、米インフレは基調としては低下傾向にあるものの、高止まりの状況です。堅調な労働市場を背景に、今後のインフレ低下も極めて緩やかなものとなりそうです。3 月は総合で前年比 3.5%程度、コアは同 3.7%程度の伸びを想定しています。

 

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