来週の金融市場見通し(2024年3月4日~2024年3月8日)

■来週の見通し

1月の米個人消費支出(PCE)物価指数の伸びが前月から小幅に鈍化し、市場予想と一致したことで、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ先送りへの過度な警戒感が和らぎました。他方、日銀の高田審議委員が、強力な金融緩和からの出口対応に向けた検討が必要との見解を示したことから、3月の金融政策決定会合でのマイナス金利解除への思わくが再燃しています。来週は、米雇用統計や東京都区部消費者物価指数(CPI)などの経済指標に加え、パウエルFRB議長の議会証言も確認したいところです。

◆株価 :中銀高官の発言や政治動向に注目

今週の日経平均株価は、米国経済の軟着陸(ソフトランディング)期待が高まったことを背景に史上最高値を更新しました。来週に発表される予定の雇用関連指標が米労働市場の底堅さを示す内容になると株価を押し上げそうです。ただ、来週は植田日銀総裁とパウエルFRB議長の発言を受けて、株式市場の値動きが大きくなる可能性があり注意が必要です。また、米大統領選「スーパーチューズデー」や中国全国人民代表大会も注目したいところです。

◆長期金利 :レンジ継続

週初は、超長期債中心に買いが広がり、長期金利は0.7%を下回りましたが、日銀の高田審議委員の発言を受け、再び0.7%台に乗せる動きになりました。もっとも、日銀は春闘などを確認したうえで4月の会合でマイナス金利を解除する可能性が高そうです。高田氏はマイナス金利解除後もどんどん利上げをするというようなことではないとも述べており、一段の金利上昇は限定的とみられます。10年国債入札も確認したいところです。

◆為替一進一退

ドル円は、底堅い地合いは継続するものの、レンジ内で一進一退の展開が見込まれます。日銀の審議委員が、物価目標の実現がようやく見通せる状況になってきた等の発言を行ったことで、日銀の早期金融政策修正期待が高まり、ドル円は一時149円台前半に下落しました。とはいえ、堅調な米景気を背景に、米利下げ期待も後退していることからドル円の下値も堅く、来週は、変動性は高いものの、狭いレンジ内で一進一退の展開が想定されます。

◆Jリート :押し目を探る

値ごろ感からの買いが入り一旦上昇したものの、その後は日銀の高田審議委員の講演を受けて、長期金利が上昇したことを嫌気した売りなどから、軟調な動きになりました。ただ、予想分配金利回りは4%台後半まで上昇しており、長期金利を差し引いても4%前後と、利回り面での妙味は高くなっています。日銀の政策修正への警戒は重しですが、割安感が強まる中、株式市場の過熱感が一服すると、見直し買いが入ることも想定されます。

来週の注目点

東京都区部・消費者物価指数(2月)  3月5日(火) 8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は1月に前年比1.8上昇と、昨年12月の同2.1%上昇から伸びが鈍化しました。政府のエネルギー価格抑制策を受け、電気代が同22.2%下落したことがコアCPIを押し下げました。

2月のコアCPIも、前年比2%程度の上昇率が見込まれます。引き続き、生鮮食品を除く食料の価格上昇などが物価を押し上げそうです。今後も当面、賃金の引上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%程度の水準で推移すると予想されます。

米雇用統計(2月) 3月8日(金) 22時30分発表

1月の米雇用統計では、非農業部門雇用者数は前月比35万3,000人増と1年ぶりの大幅増となりました。平均時給は前月比0.6%増となり、賃金の伸びも前月より加速しました。また、失業率も3.7%と前月並みとなるなど、米労働市場は引き続き堅調であることが示唆されました。

これまでの米連邦準備理事会(FRB)の利上げなどの影響を受け、米労働市場の過熱感はやや後退しているものの、当面、堅調な状況が続きそうです。2月の非農業部門雇用者数は前月比19万人増程度、平均時給は同0.3%増程度、失業率は3.7%程度を想定しています。

 

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