来週の金融市場見通し(2024年1月15日~2024年1月19日)
■来週の見通し
昨年12月の米消費者物価指数(CPI)が3か月ぶりの大きな伸びとなり、市場予想も上回ったことを受け、米国の早期利下げ観測がやや後退しています。他方、12月の東京都区部CPIは11月から伸びが鈍化しました。11月の実質賃金も20か月連続でマイナスとなっており、日銀がマイナス金利政策解除しても、当面、政策金利を低水準で維持するとの見方が出てきています。来週は米連邦準備理事会(FRB)高官の発言や12月の全国CPIなどを確認しながら、日米の金融政策を占うことになります。
◆株価 :利益確定売りが優勢か
日本株は、利益確定売りが優勢となりそうです。今週の日経平均株価は週初に、円安や新しい少額投資非課税制度(NISA)を経由した個人投資家の資金流入を背景に昨年7月の高値を更新し、その後は買いが加速し35,000円台まで上昇しました。来週は、急上昇した反動で利益確定売りが優勢となりそうです。また、中東での紛争の拡大や台湾をめぐり中国と台湾の緊張感が高まると投資家心理が悪化し、株価を押し下げる可能性があります。
◆長期金利 :一進一退
10年国債入札は不調だったものの、12月の東京都区部CPIで、生鮮食品を除く総合が前年同月比2.1%上昇と11月から鈍化したことや、実質賃金がマイナスで推移していること、また能登半島地震の影響などから、日銀は今月の会合ではマイナス金利政策の解除を見送るとの観測が広がり、長期金利は0.6%を下回りました。来週は、米長期金利の動きに加え、全国CPIなどを確認しながら居所を探ることになりそうです。
◆為替 :方向感模索
ドル円は、レンジ内で方向感を模索する展開となりそうです。12月の米消費者物価指数は市場予想比でやや上振れたものの、今年前半の利下げ期待は引き続き根強く、米長期金利は4.0%を下回る水準で推移しています。他方、能登半島地震の影響に加え、国内名目賃金の伸びの大幅鈍化を受け、日銀の金融政策変更観測は後退しています。そのような環境下、ドル円は、上下値幅ともに限定的とみられ、レンジ内で方向感を模索する展開が見込まれます。
◆Jリート :底堅い動きの中、上値を探る
東証REIT指数は、米長期金利が上昇したことを嫌気した売りや利益確定売りから、週央まではやや軟調な動きになったものの、株高を受けて投資家心理が上向き、週後半は買いが優勢になりました。12月の東京都心のオフィス平均賃料が41か月ぶりに上昇したことは安心材料です。日銀の早期のマイナス金利解除観測が後退し、長期金利の上昇が抑制される中、利回り面での投資妙味も手伝い、底堅い推移が見込まれます。
■来週の注目点
全国・消費者物価指数(12月) 1月19日(金) 8時30分発表
全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は11月に前年比2.5%上昇と、10月の同2.9%上昇から伸びが鈍化しました。政府のエネルギー価格抑制策を受け、電気代が同18.1%下落したことがコアCPIを押し下げました。
12月のコアCPIは、前年比2%台前半の上昇率が見込まれます。引き続き生鮮食品を除く食料の価格上昇などが物価を押し上げそうです。今後も当面、賃金の引き上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。
米小売売上高(12月) 1月17日(水) 22時30分発表
11月の米小売売上高は、前月比0.3%増となり、前月の同0.2%減から増加に転じました。根強いインフレと借り入れコスト上昇が逆風となる中、足元のガソリン価格の下落がホリデー商戦での家計の消費を後押ししたとみられます。
米国では、過熱感は後退したものの、堅調な労働市場を背景に、家計支出は引き続き底堅い状況です。とはいえ、借り入れコストが高止まる中、貯蓄も減少しており、今後の家計支出の動向は不透明です。12月の米小売売上高は前月比0.4%増程度を想定しています。
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