来週の金融市場見通し(2023年10月23日~2023年10月27日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会 (FRB)のパウエル議長が講演で、「現在の金利水準が引き締め過ぎとの証拠はない」などと述べたことを受け、米金融引締めが長期化するとの見方が広がりました。次の米連邦公開市場委員会(FOMC)は現状維持の可能性が高いものの、その後の追加利上げの可能性は残した格好です。他方、日銀については物価見通しを上方修正し、金融政策の修正に動くとの思わくも浮上しています。来週は中東情勢や内外企業の決算発表なども確認しながら、翌週の日米の金融政策決定会合を待つことになります。

◆株価 :不安定な動きか

日本株は、不安定な動きが見込まれます。最近の日本株は、中東情勢の緊迫化や米長期金利の変動を材料に値幅が大きくなっており、来週も不安定な動きが続きそうです。また、下院議長が決まらない等米政治の混乱は投資家心理を圧迫する可能性があります。ただ、本格化する国内企業の決算発表で良好な業績が示されると、株価を支えそうです。政府が検討している経済対策の規模や内容が、日本経済を活性化させる内容になるかも確認したいところです。

◆長期金利 :米金利にらみ

米国の堅調な経済指標や財政赤字の拡大、議会の混迷を受けて米長期金利が上昇基調を続けていることに加え、日銀の早期の政策修正への思わくもくすぶり、国内金利に上昇圧力がかかっています。ただ、日銀は臨時の国債買入れオペを実施し、金利上昇を抑制する姿勢を示しています。米金利の動きが落ち着いてくると、国内金利の上昇も一服しそうです。とはいえ、翌週の日銀会合を確認するまでは動きにくい状況が続きそうです。

◆為替底堅い中、方向感模索

ドル円は、底堅い中、レンジ内で方向感を模索する展開が想定されます。足元、強い米経済指標が散見されており、米引締めの長期化観測が根強い状況です。それを受け、米長期金利が上昇しており、ドル円の底堅い地合いは続きそうです。もっとも、1ドル150円の水準が心理的にも抵抗線として意識される中、日銀の政策変更観測や介入警戒感などもあり、ドル円の上値も限定的とみられることから、レンジ内で方向感を模索する展開が続きそうです。

◆Jリート :一進一退

東証REIT指数は、日米の金利上昇や株安を受けて投資家心理が悪化したことなどから、売りに押されました。ただ、下値では押し目買いも入り、底堅い動きは続いています。訪日外国人客数がコロナ禍前に迫る水準まで回復してきていることは安心材料です。内外の金利の動きが落ち着いてくれば、上値を探る動きも出てきそうです。とはいえ、金融政策をめぐる思わくに振らされることに加え、中東情勢悪化などには注意が必要です。

来週の注目点

 

東京都区部・消費者物価指数(10月) 10月27日(金)午前8時30分発表

東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は9月に前年比2.5%上昇と、8月の同2.8%上昇から伸びが鈍化しました。政府のエネルギー価格抑制策を受け、電気代が同25.7%下落したことがコアCPIを押し下げました。

10月のコアCPIも、前年比2%台後半の上昇率が見込まれます。引き続き食料品の値上げなどがコアCPIの伸びに寄与する見通しです。今後も当面、賃金の引上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえれば、コアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。

米個人消費支出(9月) 10月27日(金) 午後9時30分発表

8月の米個人消費支出(PCE)は、前月比0.4%増となりました。また、PCE総合価格指数は前年比3.5%上昇となり、食品とエネルギーを除くPCEコア価格指数は同3.9%上昇となりました。個人消費は依然、底堅いものの、米コアインフレの鈍化傾向は継続しました。

米国の個人消費は、今後も底堅く推移しそうですが、米連邦準備理事会(FRB)によるこれまでの大幅な利上げや貯蓄の減少が今後重しとなりそうです。9月のPCEは前月比0.4%増程度、総合価格指数は前年比3.4%程度、コア指数は同3.7%程度の伸びが想定されます。

図表、スケジュール入りのレポートはこちら

https://www.skam.co.jp/report_column/weekly/02/

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