来週の金融市場見通し(2023年7月17日~2023年7月21日)

■来週の見通し

6月の米消費者物価指数(CPI)は前年同月比で3.0%上昇と12か月連続で鈍化、また6月の生産者物価指数(PPI)も同0.1%上昇と2020年8月以来の低い伸びとなりました。インフレ鈍化を受け、米連邦準備理事会(FRB)による年内の利上げは今月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で最後になるとの観測が台頭しています。来週は、全国・消費者物価指数(CPI)に加え、米小売売上高、米主要企業の決算発表などを確認しながら、翌週のFOMC、日銀金融政策決定会合を待つことになります。

◆株価 :上値の重い展開か

日本株は、上値の重い展開が見込まれます。日経平均株価は3万2千円台の高値圏で推移しており、日本銀行の金融緩和修正への警戒感が株価の重しとなりそうです。さらに、円高・ドル安の動きが上値を抑えそうです。ただ、国内景気の拡大などを期待した海外投資家の日本株への投資意欲は根強く、株価を下支えしそうです。そうした中、21日発表の全国CPIや日銀の金融政策をめぐる市場の動きが注目されます。

◆長期金利 :神経質な動き

長期金利は、日銀が今月の会合で長短金利操作(YCC)を修正するとの思わくから一旦上昇しましたが、その後は米金融引締めが長期化するとの観測が後退し、米金利が低下したことを受け、低下に転じました。ただ、週末は日銀が今年度の物価見通しを2%台に上方修正する可能性が高いと伝わり、政策修正に動くとの見方から、日銀が許容する上限の0.5%に迫りました。翌週にFOMC、日銀会合を控え、神経質な動きが続きそうです。

◆為替上値重い

ドル円は、上値の重い展開が見込まれます。6月の米CPIやPPIが米インフレの鈍化傾向を示唆したことに加え、7月の日銀金融政策決定会合に向け、金融緩和政策の修正観測が高まっています。それらを受け、ドル円は上値の重い展開となりそうです。また、今週末から18日にかけ、G20財務相・中央銀行総裁会議が予定されており、日銀への政策修正期待がさらに高まってくると、ドル円はじりじりと下値を模索する可能性があります。

◆Jリート :底堅い動きの中、上値を探る

株式市場が円高進行や日銀の政策修正への警戒などからやや軟調な動きになる中、出遅れ感からの買いも入り、東証REIT指数は強含みで推移しました。底堅い動きが続く中、株式市場に出遅れていることに加え、資産価格に比べた割安感や相対的に高い利回りに着目した買いなどから、上値を探る場面もありそうです。とはいえ、翌週にFOMC、日銀会合を控え、日米の金融政策をめぐる思わくに振らされることには注意が必要です。

来週の注目点

全国・消費者物価指数(6月) 7月21日(金)午前8時30発表

全国の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は5月に前年比3.2%上昇と、4月の同3.4%上昇から伸びが鈍化しました。政府のエネルギー価格抑制策を受け、電気代が同17.1%下落したことがコアCPIを押し下げました。一方、生鮮食品を除く食料は同9.2%上昇しました。

6月のコアCPIも、前年比3%台前半の上昇率が見込まれます。引き続き食料品の値上げなどがコアCPIの伸びに寄与する見通しです。今後も当面、賃金の引き上げに伴うサービス価格上昇の動きも踏まえればコアCPIの上昇率は2%を上回る水準で推移すると予想されます。

米小売売上高(6月) 7月18日(火)午後9時30分発表

5月の米小売売上高は前月比0.3%増となり、4月に続き2か月連続で増加しました。インフレが高止まりし、借り入れコストが重くのしかかる中でも、家計の消費需要が底堅いことが示されました。5月は特に自動車への支出が拡大した模様です。

米国では、堅調な労働市場と賃金を背景に、引き続き家計支出は底堅い推移が続きそうです。しかし、7月の米利上げ観測の根強い中、信用収縮の懸念もあることから、今後の家計支出の動向は不透明感が強い状況です。6月の米小売売上高は前月比0.5%増程度を想定しています。

 

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