来週の金融市場見通し(2023年3月13日~2023年3月17日)
■来週の見通し
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は議会証言で、利上げを加速させる可能性があるとの認識を示すとともに、想定以上に金利を高く引き上げることもあり得ると述べました。もっとも、3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)では0.50%利上げの可能性が高そうですが、0.25%との見方もくすぶります。他方、日銀は大規模な金融緩和策を維持しました。来週は10日の米雇用統計を受けた米金融市場の反応に加え、米消費者物価指数(CPI)などを確認しながら、翌週のFOMCを待つことになりそうです。
◆株価 :上値の重い展開に
日本株は、上値の重い展開が予想されます。日経平均株価は一旦下落したものの2万8千円台で推移しており、高値警戒感が上値を抑制する見通しです。また、米国の利上げをめぐる不透明感も、内外の株価を圧迫しそうです。ただ、米国が利上げを続けている一方、9-10日の日銀金融政策決定会合では金融政策が据え置かれました。4月以降は政策修正があり得るものの、修正は慎重に検討されるとの観測が、当面の日本株を下支えしそうです。
◆長期金利 :居所を探る
日銀が大規模な金融緩和の維持を決め、長期金利の許容上限も0.5%のままとしました。市場の一部では政策修正への警戒感がありましたが、現状維持を受けて、長期金利は久しぶりに低下する動きになりました。長期金利をゼロ%程度に誘導するイールドカーブ・コントロール(長短金利操作)の修正などは、植田新総裁にゆだねられた格好です。早晩、日銀は慎重ながらも政策修正に動くとの見方から、一段の低下は限定的になりそうです。
◆為替 :変動性高い
ドル円は、変動性の高い展開が見込まれます。2月の米雇用統計に加え、来週は米CPIの発表が控えており、その結果次第でドル円は大きく変動する可能性があります。堅調な米労働市場を背景にインフレ懸念は根強く、米金融引締めは「より高くより長期に」との見方から、ドル円の下落余地は限定的とみられるものの、米インフレに鎮静化の兆しがみられた場合、米長期金利の低下とともに、ドル円には下押し圧力がかかりそうです。
◆Jリート :一進一退
東証REIT指数は、買いが優勢になる場面があったものの、米利上げの長期化による金利上昇への警戒感が重しとなり、一進一退の動きが続きました。日銀が大規模な金融緩和を維持したことや、新築ビル、既存ビルとも成約が進み、2月の東京都心のオフィス空室率が2か月連続で低下したことは安心材料です。値ごろ感からの買いなども下支えしそうです。もっとも、米金融政策をめぐり、神経質な動きになることも想定されます。
■来週の注目点
機械受注(1月) 3月16日(木)午前8時50分発表
機械受注統計によると、設備投資の先行指標とされる「船舶・電力を除く民需」の受注額は、昨年12月に前月比1.6%増の8,519億円となりました。このうち、製造業は同2.1%増、非製造業は同2.5%減となりました。また、10-12月期は前期比5.0%減となりました。
1月の機械受注は、前月比で小幅な増加が見込まれます。新型コロナウイルスの影響緩和に伴う国内景気の回復期待などを背景に、企業の設備投資意欲は根強いとみられます。ただ、米欧景気をめぐる不透明感や原材料高を踏まえれば、機械受注は当面、緩慢な回復にとどまりそうです。
米消費者物価指数(2月) 3月14日(火)午後9時30分発表
1月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比6.4%の上昇となり、また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは5.6%の上昇となりました。両指数とも依然高水準ながら前月から伸びが鈍化しました。
米労働市場の堅調な状況が続く中、賃金上昇圧力は依然根強く、サービス分野を中心に消費者の旺盛な需要が見込まれます。とはいえ、インフレ鈍化の傾向は緩やかながらも継続すると想定され、2月は総合で前年比6.0%程度、コアは同5.5%程度の伸びを想定しています。
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