来週の金融市場見通し(2022年12月5日~2022年12月9日)

■来週の見通し

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、12月の米連邦公開市場委員会(FOMC、13-14日)での利上げ幅の縮小を示唆したことを受け、米金融引締めへの警戒が後退しています。とはいえ、最終的な政策金利については9月会合の時の予想よりいくぶん高くなると、政策金利見通しが引き上げられるとの見方も示しました。米雇用者数の伸び鈍化が見込まれる2日の米雇用統計を受けた米金融市場の反応に加え、11月の米生産者物価指数(PPI)などを確認しながら、翌週のFOMCを待つことになります。

◆株価 :方向感の乏しい展開に

日本株は、方向感の乏しい展開が予想されます。米国のインフレ鈍化期待に支えられる一方、世界景気の減速懸念や、中国における新型コロナウイルスの感染拡大をめぐる不透明感が株価を圧迫する見通しです。また、円高が輸出関連株の重しとなりそうです。さらに、翌週のFOMCを控え、様子見姿勢も広がりそうです。ただ、FOMCでは利上げ幅が0.5%にとどまるとの観測が優勢である中、株価が急落する可能性は低いとみられます。

◆長期金利 :こう着した動きが継続

パウエルFRB議長が「12月にも利上げペースを縮小する可能性がある」と述べたことなどを受け、金融引締めへの警戒が和らぎ、米長期金利が一時3.50%まで低下する動きになったものの、国内の長期金利は日銀が許容する上限の0.25%に張り付いた動きが続いています。国内でもインフレ率が加速しており、長期金利は低下しにくく、こう着した状況が続きそうです。30年国債、5年国債入札も確認したいところです。

◆為替 :下落余地模索

米利上げペースの減速を示唆するパウエルFRB議長の講演を受けた米長期金利の低下圧力が継続する中、10月の米個人消費支出(PCE)価格指数の伸びが前月比で市場予想を下回るなど、ドル円の下押し圧力が強まっています。また、中国では新型コロナ感染拡大の景気への悪影響が懸念されており、市場ではリスク回避の動きが優勢となっています。それらを受け、ドル円の上値は重く、徐々に下落余地を模索する展開となりそうです。

◆Jリート :方向感を探る

東証REIT指数は、週前半は堅調な動きが続きましたが、週央以降は売りが優勢になりました。政府が観光促進策「全国旅行支援」の割引率を引き下げたうえで年明け以降も継続する方針を示したことや、米長期金利が低下する中、利回り面での投資妙味が高まっていることは下支え材料です。1,900ポイント前半まで下落しており、値ごろ感からの買いも期待できます。ただ、翌週にFOMCを控え積極的には動けず、方向感は出にくそうです

来週の注目点

景気ウォッチャー調査(11月) 12月8日(木)午後2時発表

景気ウォッチャー調査の現状判断指数(DI)は、10月に前月差1.5ポイント上昇の49.9と、3か月連続で改善しました。家計動向関連、企業動向関連ともに上昇しましたが、企業動向関連では製造業が上昇した一方、非製造業は小幅ながら低下しました。

11月の現状判断指数は、小幅な低下が見込まれます。家計動向関連では、円安などによる物価高が個人消費を抑制する中、特に小売関連が伸び悩みそうです。企業動向関連では、原材料価格やエネルギー価格の上昇によるコスト増が当面、製造業などの景況感を圧迫する見通しです。

米生産者物価指数(11月) 12月9日(金)午後10時30分発表

10月の米生産者物価指数(PPI)は、総合で前年比8.0%の上昇となり、市場予想以上に伸びが鈍化しました。また、変動の大きい食料、エネルギーを除くコアPPIも、同6.7%と市場予想を下回り鈍化しました。

米国のサプライチェーン問題の改善やインフレ高進に伴う需要の減速が背景にあるとみられ、10月は食品とエネルギーを除いた財の価格やサービス価格が前月比で低下しました。急速な物価上昇ペースがようやく減速し始めている可能性があり、11月の総合PPIは前年比7.1%程度、コアは同5.8%程度の伸びを予想しています。

 

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