来週の金融市場見通し(2022年9月12日~2022年9月16日)

■来週の見通し

豪中銀の0.5%、カナダ中銀の0.75%利上げに続き、欧州中央銀行(ECB)も0.75%の大幅利上げを決定しました。20、21日の米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、0.75%の大幅利上げ継続が市場に織り込まれつつあります。来週は 米連邦準備理事会(FRB)の関係者が金融政策に関して踏み込んだ発言をしてはならないブラックアウト期間に入るため、8月の米消費者物価指数などを確認しながら、FOMCでの利上げ幅などを占うことになります。円安進行を受けた政府、日銀の動きも確認したいところです。

◆株価 :緩やかな上昇か

日本株は、緩やかな上昇が予想されます。米国における当面の利上げは、かなりの程度、織り込み済みとなった模様であり、米国株は足元底堅さを示してます。それらを背景とした投資家心理の改善に加え、円安による輸出企業の好業績期待が日本株を支える見通しです。とはいえ、米国のインフレなどに対する警戒感が依然として強い中、日経平均株価は2万8千円台を回復しており、利益確定売りが株価の上値を抑える場面もありそうです。

◆長期金利 :0.25%の攻防

FRBの金融引締めが長引くとの見方から米長期金利が3.3%半ばまで上昇したことを受け、国内の長期金利は約1か月半ぶりに0.245%まで上昇しました。30年国債入札は無難な結果で需給はさほど崩れていない状況です。海外で利上げが相次ぎ、円安が大きく進行する中、日銀が政策修正を迫られるとの思わくも、長期金利を押し上げているとみられます。米長期金利や日銀の動向などをにらみながらもみ合う動きが続きそうです。

◆為替 :変動性高い展開

ジャクソンホール会議でのパウエルFRB議長の講演以降もFRB高官のタカ派発言が続いています。米金融引締めが長期化するとの警戒感が強く、9月のFOMCにおいても大幅利上げの可能性が高い状況です。他方、日銀は金融緩和政策を維持していることから、ドル円は引き続き上昇余地を模索することとなりそうです。来週発表される8月の米消費者物価指数が注目されており、結果次第ではかなり変動性の高い展開が見込まれます。

◆Jリート :値固めをしながら上値を探る

東証REIT指数は、長期金利上昇は重しになったものの、値動きの安定感や利回り面での妙味などから、総じて堅調な地合いが続きました。8月の東京都心のオフィス空室率は2か月ぶりに上昇しましたが、来年3月まで大型ビルの完成がないことや、8月は既存ビルの空室率が低下していることから、当面のオフィス市況は緩やかな改善が見込まれます。2,000ポイント台前半で値固めをしながら、上値を探る動きが続きそうです。

来週の注目点

機械受注(7月) 9月14日(水)午前8時50分発表

機械受注統計によると、設備投資の先行指標である「船舶・電力を除く民需」の受注額は、6月に前月比0.9%増の9,170億円となりました。このうち、製造業は同5.4%増となった一方、非製造業はほぼ横ばいでした。

7月の機械受注は、前月比で小幅な減少が見込まれます。好業績を背景に企業の投資意欲は底堅いとみられるものの、7月以降、国内で新型コロナウイルスの感染が急拡大したことなどが、機械受注の伸びを抑制したとみられます。今後は回復基調が予想されるものの、世界景気の減速などのため、緩やかな回復にとどまる見通しです。

米消費者物価指数(8月) 9月13日(火)午後9時30分発表

7月の米消費者物価指数(CPI)は、総合で前年比8.5%の上昇となり、市場予想以上に伸びが鈍化しました。また、変動の大きい食品、エネルギーを除くコアCPIは、同5.9%上昇と市場予想をやや下回り、前月と同じ伸びとなりました。前月に比し、7月はエネルギー価格の下落が反映された模様です。

ガソリンなど、エネルギー価格は下落しているものの、食品価格や住居費の上昇は続いています。また、需要の高まる冬季に向け、エネルギー価格の今後の動向も予断を許しません。8月は総合で前年比8.1%程度の上昇、コアは同6.1%程度の上昇を想定しています。

 

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