来週の金融市場見通し(2022年8月15日~2022年8月19日)
■来週の見通し
7月の米消費者物価指数(CPI)は市場予想を下回り、前月から伸びが鈍化、また、7月の米卸売物価指数(PPI)は前月から下落しました。物価上昇ペース鈍化への期待から、米連邦準備制度理事会(FRB)による利上げ加速観測が後退しています。もっとも、FRB高官からは市場で浮上している来年の利下げ観測を否定する発言が相次いでいます。来週は、内外の経済指標に加え、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨(7月開催)やFRB高官の発言などを確認しながら、方向感を探ることになりそうです。
◆株価 :緩やかな上昇か
日本株は、緩やかな上昇が予想されます。米国のインフレや利上げに対する警戒がひとまず和らいでいることが、内外の株価を支える見通しです。また、米国株と比べた割安感も、日本株の上昇を促す見込みです。ただ、米国のインフレ率はまだ高く、今後の利上げペースは依然として不透明です。また、世界景気の減速懸念も払しょくできない状況です。そうした中、内外で多くの経済指標が発表されるため、それらの内容が注目されます。
◆長期金利 :居所を探る
米CPI、PPIがインフレ減速を示し、米利上げの加速観測が後退する中、景気悪化懸念が後退し、米長期金利が上昇したことを受け、国内の長期金利は一時0.20%まで上昇しました。もっとも、米CPIは前年同月比8.5%上昇と高い水準で、積極的な金融引締めが米景気を冷やすとの警戒もくすぶり、長期金利の一段の上昇は限定的になる可能性があります。5年、20年国債入札も確認しながら、引き続き居所を探ることになりそうです。
◆為替 :方向感見定めにくい
7月の米CPIやPPIが市場予想比で下振れたことなどから、米国のインフレや大幅利上げに関する警戒が和らいでいます。それを受け、ドル円は上値の重い地合いが続きそうです。とはいえ、インフレ率は依然高水準であり、FRBのインフレ警戒姿勢にいまのところ変化はみられません。日米金融政策の方向性の違いは引き続きドル円の下支え要因であり、ドル円は上値、下値とも限られる中、方向感の見定めにくい展開となりそうです。
◆Jリート :底堅い動きの中、上値を探る
東証REIT指数は、米長期金利が上昇に転じ、利回り面でみたJリートの相対的な投資妙味が低下したことなどから、やや売りに押される動きになりました。もっとも、節目の2,000ポイントに近づくと押し目買いも入り、底堅く推移しました。7月の東京都心のオフィス空室率が2か月ぶりに低下したことや、賃料の下落が鈍化してきていることは安心材料です。長期金利の落ち着きなどを確認しながら、上値を探ることになりそうです。
■来週の注目点
GDP統計(22/4-6月期) 8月15日(月)午前8時50分発表
実質国内総生産(GDP)は、1-3月期に前期比0.1%減(年率0.5%減)と、小幅ながらマイナス成長になりました。新型コロナウイルスの感染拡大などを背景に個人消費が伸び悩んだほか、部品不足や資源高などを受けて設備投資が前期比減となりGDPを押し下げました。
4-6月期の実質GDPは、前期比年率で3%前後のプラス成長が見込まれます。感染者数が一旦減少し個人消費が伸びたとみられる上、輸出の伸びなどを背景に設備投資が前期比増に転じたとみられます。ただ足元、感染が再び急拡大していることや、部品不足が解消されていないことなどから、年後半の景気拡大は緩慢となりそうです。
米鉱工業生産(7月) 8月16日(火)午後10時15分発表
6月の米鉱工業生産指数は、前月比0.2%の低下(前年比4.2%の上昇)となり、市場予想を下回るとともに、今年初めての低下となりました。在庫の積み上がりと米景気の減速懸念が影響したとみられます。また、設備稼働率は80.0%と前月からやや低下しました。
前月に比し、建設資材や自動車などの生産が減少した一方、石油、ガス掘削は増加した模様です。今後、米景気の減速懸念を背景に鉱工業生産はやや低調となる可能性があります。7月は前月比0.3%程度の上昇、設備稼働率は80.1%程度を想定しています。
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